泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

「名目GDP 600兆円」の狙いは株価への配慮? 需要喚起に、もっとテクノロジーの活用を GFリサーチ 泉田良輔氏

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潜在成長率2%を実現するには?

 では、安倍政権は名目GDPの目標をどのように実現する考えなのか。2015年11月4日の経済諮問委員会で提出された有識者議員提出資料(※)には、次のようなポイントが示されている。

(※)『強い経済・GDP 600兆円に向けて

 まずマクロ環境の前提として、「GDPデフレーター1%を上回る水準+潜在成長率2%程度=名目GDP成長率3%を上回る水準」としている。2014年を基準年として年率3%成長を2020年まで継続することができれば、確かに2020年には約582兆円まで拡大する計算になる。

 名目GDP 600兆円の内訳については、こう述べられている。需要面では、「賃上げを伴う消費増」を最大の成長ドライバーにしており、2014年比でプラス60兆円の貢献をみている。それ以外には、インフラシステムの受注(輸出)でプラス20兆円、訪日外国人消費でプラス5兆~8兆円などを追加的に見込んでいる(ちなみに訪日外国人による消費はGDP上「輸出」に該当する)。様々な要因の積み上げで名目GDP 600兆円を目指すことになるが、基本は国内消費の拡大が柱となる。つまり、個人の所得を増やし、内需をいかに刺激するかがポイントとなる。

 改めて、名目GDPの構成内訳をみてみたい。

<FONTBOLD />名目GDP構成の推移</FONTBOLD> 民間最終消費支出の構成比は55~60%あるため右軸の目盛を参照。出所:内閣府の資料をもとにGFリサーチ作成</p><p>

名目GDP構成の推移 民間最終消費支出の構成比は55~60%あるため右軸の目盛を参照。出所:内閣府の資料をもとにGFリサーチ作成

 民間最終消費支出は名目GDPの約60%を占めており、有識者の指摘を待たずとも、名目GDP拡大のための最大のポイントは「国内消費を喚起できるかどうか」となる。ただ、賃金を増加させることは消費を喚起させる要因にはなるであろうが、賃金の増加分をそのまま消費に回すかというと、それほど単純な話でもない。そもそも欲しいと思うサービスや商品がなければ消費は増えない。

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