泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

株価が示すソニーの復活は本物か? GFリサーチ 泉田良輔氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

本物の復活へ解決すべきソニーの課題とは

 では最高益を更新し、さらに復活を持続的な成長にするためのソニーの課題は何だろうか。「ソニーはアップルのiPodやiPhoneのような革新的な商品を投入することができなかった」「サムスンに薄型テレビの競争で敗れてしまった」というように製品ごとの局地戦でソニーが競合企業に敗れたというのは確かだろう。

 そうした課題の解決に向けた幅広い対策は必要であるが、ここではもう一つの大きな課題を指摘しておきたい。

 下のグラフは、ソニーの米国におけるドル換算売上高(1994年度を100とした指数)、および連結決算の当期純利益額を示したものである。

<FONTBOLD />ソニーの米国におけるドルベース売上高指標と当期純利益(単位:10億円)</FONTBOLD> 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成</p><p>

ソニーの米国におけるドルベース売上高指標と当期純利益(単位:10億円) 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成

 ここから感じるのはソニーの米国市場における回復の弱さである。ソニーの米国売上高のピークは2007年度の195であり、ボトムは2012年度の88だ。つまり、一時的に売上高は半分以下に落ち込んだ。売上高が5年で半分以下になって収益を維持するのはどのような経営者でも困難だろう。

 また、足元では米国での売上高が回復してきたとはいえ、リーマン・ショック前にまでは戻っていない。3分の2程度までに回復したところが実際だ。

 グラフでは、米国の売上高が拡大すると当期純利益がオーバーシュートし、縮小するとアンダーシュートするトレンドも見て取れる。ソニーの米国売上高比率は2016年度では約22%であり、現時点で米国をもって全体を語ることはできないが、営業利益が過去最高だった1997年度は米国売上高比率が32%あったことを考えると、ソニーが20年間にわたり苦戦してきた大きな要因の一つは米国における事業展開にあると感じる。

 2000年以降、液晶テレビを中心にした薄型テレビ、携帯電話およびスマートフォンなど、世界で急激に普及した製品については、ソニーも重点的に新製品を提供してきた。そうした新製品がありながら、ソニーは世界最大の消費国である米国で売上高を大きく伸ばせていない。それは「米国で売れる商品を開発できなかったから」とは言えないだろうか。

 もちろん米国はアップルという強大なライバルの本拠地であるが、アップルといえども薄型テレビは生産・販売していない。また実際に、米国のスマートフォン市場においてもサムスンが一定のシェアを確保している。そうした状況を考えると、ソニーの復活を本物にする大きなカギは米国で売れる製品を提供するという考えに基づいた米国市場の攻略にあるはずだ。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。