泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

株価が示すソニーの復活は本物か? GFリサーチ 泉田良輔氏

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本業のキャッシュフロー改善も寄与

 では、冒頭で示したような、ソニーの株価パフォーマンスの高さは、「ゲーム&ネットワークサービス」「半導体」「金融」の各セグメントの収益回復とその規模を期待していることだけが理由なのだろうか。もちろんそれらの事業セグメントの個別の収益改善は評価できるが、同社をさらに俯瞰(ふかん)してキャッシュフローにフォーカスすると新たな側面がわかる。

 下図は、リーマン・ショック以降のソニーの「非金融分野のコア営業キャッシュフロー(CF)」と投資キャッシュフロー(CF)の中の固定資産の購入額、およびそれらの合計(ネット)の推移を見たものである。

<FONTBOLD />ソニーの非金融分野のコア営業キャッシュフローと固定資産の購入額(単位:10億円)</FONTBOLD> 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成

ソニーの非金融分野のコア営業キャッシュフローと固定資産の購入額(単位:10億円) 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成

 ここでは「非金融分野のコア営業CF(以下、コア営業CF)」を、以下のように定義している。

非金融分野のコア営業CF=(調整後純利益+償却費)+(運転資本の増減)+(繰延映画製作費の増減)

※調整後純利益+償却費=当期純利益+その他営業損(純額)+投資有価証券売却損益および評価損(純額)+有形固定資産の減価償却および無形固定資産の償却費(繰延保険契約日の償却を含む)、としている。

 グラフにあるように2012年度以降、コア営業CFは改善し、直近4年間は4000億円近い水準で毎年度安定的に計上されており、また投資CFの固定資産の購入額を合計したネットも2013年度以降はプラスとなっている。実は、これがソニーの株価上昇の大きな要因の一つではないだろうか。

 2014年の夏以降、ソニーの株価が上昇する中、海外の機関投資家の中には「ソニーの何が変わったのか」「ソニーで"新たに"競争優位を確立できた事業があるのか」などの声が出ていた。その疑問を解消するのがこのグラフであると考えている。

 ほかにも2013年5月にアクティビスト・ファンドのサード・ポイントがソニー株式を保有し、同社の映画や音楽の事業を切り離して米国に上場せよと圧力をかけたこと(これは2014年10月、同ファンドがソニー株の売却を発表して終わった。概要は日本経済新聞の記事「米ファンドのサード・ポイント、ソニー株を全て売却」に掲載されている)、スマホ事業などの不採算事業の立て直したこと、電池事業の売却といった個別の要因はある。しかし、こうして見ると株価の上昇を支えてきたのは、コア営業CFの改善であったと言える。

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