泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

自動車産業の次の10年、半導体を牛耳るのはインテルかARMか GFリサーチ 泉田良輔氏

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インテル・ARMが車載マイコン分野へ、日本メーカーは大丈夫か?

 インテルによるアルテラ買収のもう1つの狙いはIoT(モノのインターネット)だ。インテルアーキテクチャーとFPGAの組み合わせた「インテグレーテッドFPGA」により、ASSPやASIC(※)を置き換えようとしている。

(※)ASSPは特定のアプリケーションに特化したICの標準品。ASICは特定の顧客に向けてカスタマイズしたIC。

 アルテラを買収する際、インテルの投資家向け資料には、IoTアプリケーションとして産業向け自動制御やADAS向け半導体をインテルとアルテラの組み合わせで開発する旨が記されている。

 このインテルの取り組みにより、どのような影響が起きるのであろうか。インテグレーテッドFPGAを採用するユーザーにとって一番大きなメリットは、それを組み込んだ製品の開発期間が短縮化されることである。インテルは、ハードウェアの再構成が可能なFPGAにより開発期間が半分以下になるとしており、期間短縮に応じた開発費用の軽減が見込まれる。さらに、最終アプリケーションの開発サイクルが短くなり、最終製品の競争力も増す。

 完成車メーカー(OEM)の場合、安全性の観点から生産ラインの品質を確認したうえで車載用マイコンを生産しているため、これが短期的にインテグレーテッドFPGAに置き換えられることはなかなか考えにくい。しかし、仮にインテグレーテッドFPGAの実績が積み上がり、安全性も担保できるような環境ともなれば、マイコンメーカーの位置づけも変わってくるかもしれない。

 ルネサスをはじめとしたマイコンメーカーは、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)といって、開発から半導体生産までを自社で一貫して行う。一方、これまでのFPGAメーカーはファブレス企業であり、これまで台湾TSMCなどの半導体ファウンドリーに生産を委託していた。アルテラは最先端の14nm(ナノメートル)プロセスの製品などはインテルに生産を委託しているが、インテグレーテッドFPGA全般をインテルが生産するともなればインパクトは大きい。

 仮に、自動車向け半導体をインテルが生産することになれば、どうなるか。完成車メーカーはインテルの生産ラインの品質が高いか、それともルネサスの生産ラインの品質が高いかを比較することになるが、インテルの生産ラインの品質、研究開発やその継続性、財務体質などを考えれば、現在はインテルほど安定感のある企業はない。日本のIDMモデルの半導体メーカーが民生品向けSoC(システム・オン・チップ)で生産するものがなくなってしまったように、同じことが自動車向け半導体でも起これば、日本の半導体産業にとっては致命的となる。

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