泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

自動車産業の次の10年、半導体を牛耳るのはインテルかARMか GFリサーチ 泉田良輔氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

データセンター分野の攻防、ARMに絶対負けたくないインテル

 インテルは、クルザニッチ体制に代わってからちょうど2年が経過した2015年6月に、主にデータセンター向け事業の強化を狙い、FPGAメーカーであるアルテラの買収を発表した。インテルはこの買収に167億ドル(1ドル=125円換算で約2兆円)の巨費を投じる。インテルからすれば、データセンター向けCPU事業でARMに追い付かれることは絶対に許されないのである。

 データセンター向けCPU市場では、PC向けCPUのように標準品がそのまま売れるわけではないとインテルは考えている。そこで同社は今後、CPUと再構成可能なFPGAを1つのパッケージに混載し、標準品では足りない部分をFPGAでカバーしようとしている。その後、インテルはCPUとFPGAを統合していくとみられる。

 しかし、FPGAにもARMのプロセッサーIPが含まれている。ここでFPGAメーカーを傘下に置き、「インテルアーキテクチャー」(※)の領域を事前に拡大しておかなければ、モバイル端末向けプロセッサーで経験したようなARMの侵食を許すことになってしまう。アルテラの買収は、データセンター向け事業での成長機会を取り込んだともいえるが、ARMの進攻を事前に防ぐ防衛的な意味合いも見てとれる。

(※)インテルのプロセッサーに共通する基本設計

 一方のARMも、サーバー向け半導体事業で着実に手を打っている。2014年にサーバー向けARMコアによるエコシステムの構築を始め、2020年にはサーバー向けプロセッサーで20%のシェアを握る計画だ。

 ARMコアの優位点は、プロセッサーの製造コストが安く、処理性能あたりの消費電力も非常に少ないことだ。決済代行サービスの米ペイパルにおけるデータセンターの運用を例に挙げよう。ARMコアをベースにしたデータセンターの構築では、従来と比べて初期投資は半分程度、年間の電力消費は7分の1になるとしている。

 一般にデータセンターでは、サーバーへの投資が半分以上を占め、それに続いて配電と空調、電力の順で費用がかかっている。データセンターの構築・運用コストを下げるためには、ハードウェア投資を効率化する必要があるのはもちろん、電力消費とそれに伴う発熱を抑え、電気代と空調コストも抑える必要がある。ARMはそうした点で優位性をアピールしている。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。