泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

巨人GEが覚醒? インフラビジネスの競争環境に影響 GFリサーチ 泉田良輔氏

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 しかし、GEのトップマネジメントの結論は、不振の金融事業を立て直すことではなく、金融事業のうちインフラ事業に貢献しない部分(主に消費者向け金融事業)を減らしていく道を選んだ。必要な事業だけを残す「縮小均衡」ともいえる計画だ。GEは、全社の利益に占める金融事業の比率を、現在の28%(筆者推定)から2016年に15%にまで下げたいとしている。

 GEがGEキャピタルを批判するトーンは、アニュアルレポートを読んでいても伝わってくるほどに印象的だ。なぜなら、GEキャピタルのリターンがGEの資本調達コストを下回っているからである。

 GEのトップマネジメントが金融事業の回復の遅さにどれくらいの期間やきもきしていたのかはわからないが、2014年に入ってからのGEの動きは速かった。同年7月には消費者金融事業を分離し、シンクロニー・ファイナンシャルとして新規株式公開(IPO)した。

高額ハードウエアの販売に有利なファイナンス機能

 GEは金融事業の一部に競争優位を欠いている事業があることは認めているが、一方でインフラ事業を手がける企業として金融事業の重要性も同時に強調している。GEはGEキャピタルに対して、強い消費者向け金融会社としてのポジションではなく、GEの産業向け事業を強化するための役割に期待している。特に、航空機用エンジン、ガスタービンなどの発電・送変電設備、医療機器といった高額のハードウエアを販売する際は、顧客がファイナンスを必要としており、GEキャピタルの存在が競争上有利であるとみている。

 GEは世界中で大規模プロジェクトを受注し、プロジェクトマネジメントを上手にこなしながら収益を上げてきた印象がある半面、プロジェクトリスクを低減させるために「ハードウエアのみ」を販売し、そこにファイナンスを付けて高い収益を上げている側面もある。ここにGEの強みの一面がある。

 大型プロジェクトを受注すると一見、見栄えはする。たとえば原子力発電所プロジェクトでは、先端技術を使って発電容量が100万キロワットを超えるような場合であれば、総額4000億円以上になる案件は普通にある。ただし、5年にも及ぶプロジェクトを予算以内で計画通りに完成させるには、相当のプロジェクトマネジメントの精度が必要だ。プロジェクトの規模が大きければ大きいほど、計画とのずれにより大きな損失が発生しやすい。

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