泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

グーグルの成長力にも陰り? ネット広告市場の潮目を読む GFリサーチ 泉田良輔氏

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 リンクトインの事業ポジションは、人材採用関連の広告料収入と企業の採用担当者や転職希望者向けの有料サービスが併存するハイブリッド型といえる。同社は現在、上図の2つの矢印の方向へ事業領域を広げようとしている。

 オープンな領域(第2象限)へ展開するため、リンクトインは「インフルエンサープログラム」というサービスを2013年に始めている。「インフルエンサー」と呼ばれる著名人(バラク・オバマ米国大統領や米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、安倍晋三首相ら数百人)に、ビジネスに役立つ経験・知見を発信してもらうもので、リンクトイン会員は自由にフォローできる。同じく2013年に、リンクトインはコミュニティー領域(第1象限)を深耕するためにニュースリーダー・アプリの米パルスを買収した。このアプリを活用して、リンクトインがこれまで十分に手がけきれなかった「人材採用に直接関係しない広告市場」を取り込もうとしている。

 さらに今年4月には、会員制オンライン動画学習サイトの米リンダ・ドットコムを買収すると発表した。採用側のニーズと応募者側のスキルのミスマッチを埋めるスキルアップのための事業である。こうした事業領域の拡大策がリンクトインの株価を支えていた。

 ところが、リンクトインの2015年第1四半期の決算は株式市場にとってネガティブサプライズとなり、決算発表の翌日の株価は約19%も下落した。株価の急落を招いた要因は、会員向け広告事業の減収と、税引き前利益の赤字である。これまで概ね黒字続きだったため、株式市場でのサプライズが大きかったと考えられる。

 とはいえ、リンクトインには、コミュニティーを基盤に様々な事業展開の選択肢があり、現在経営陣はその優位性を活用しながら様々事業展開を行っている。成長余地は大きいといえそうだ。

泉田良輔 (いずみだ りょうすけ)
 GFリサーチ代表。個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)編集長、および株1(カブワン)投信1(トウシンワン)の監修も務める。それ以前はフィデリティ投信・調査部にて日本のテクノロジーセクターの証券アナリスト、日本生命・国際投資部では外国株式運用のファンドマネージャーとして従事。慶応義塾大学大学院卒。著書に『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』。東京工業大学大学院非常勤講師。

キーワード:経営、企画、技術、製造、経営層、営業、管理職、プレーヤー、経営、イノベーション、国際情勢

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