泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

グーグルの成長力にも陰り? ネット広告市場の潮目を読む GFリサーチ 泉田良輔氏

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 ここで、リンクトインの事業モデルを改めて整理してみたい。リンクトインの2014年度の売上高をセグメント別に分解すると、企業の人材採用活動をサポートする「タレント・ソリューションズ」が売上高の60%を占める。また、リンクトイン会員をターゲットにした広告を扱う「マーケティング・ソリューションズ」が約20%、個人ユーザーなどへの有料サービスを含む「プレミアム・サブスクリプションズ」が約20%という内訳となる。

 リンクトインはインターネット企業であるために、顧客(法人の採用担当者)とのやり取りもインターネットで完結するようなイメージもあるが、実際には「タレント・ソリューションズ」の売上高のうち、「フィールド・セールス」と呼ぶ営業部隊によるものが76%にも及ぶ。今後の代理店政策なども関係してくるであろうが、リンクトインのコア事業は営業体制の規模により成長率の制約を受けるともいえる。

 こうした実情を踏まえ、リンクトインの経営陣は、ソーシャルメディアとしての価値が向上していることに比べ、広告収入がそれに見合っていないと感じているのだろう。また、企業の人材採用関連予算はそれなりの規模があるものの、拡大を続けるインターネット広告市場において、人材採用関連の広告に特化してしまうのは、リンクトインの将来に自ら制約を設けかねない状況に差しかかっている。だからこそ、「ビジネス利用に特化したソーシャルメディア」という初期の事業ポジションから脱皮して、事業領域を広げ始めたのだと考えられる。

 下図は、各ソーシャルメディアの事業ポジションを示したものである。

<FONTBOLD />各ソーシャルメディアの事業ポジション</FONTBOLD> 出所:GFリサーチ作成

各ソーシャルメディアの事業ポジション 出所:GFリサーチ作成

 縦軸は、メディアの収益機会とユーザーのサービス利用手段を示している。横軸は、メディア利用形態のオープン性を示している。フェイスブックやリンクトインでは、ユーザーが知り合いなどに対して友達リクエストを送り、それが承認されていくことでコミュニティーが形成されていく。その一方で、ツイッターなどでは、興味のあるユーザー(アカウント)を自由にフォローすることができる。

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