泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

グーグルの成長力にも陰り? ネット広告市場の潮目を読む GFリサーチ 泉田良輔氏

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 次に考えられるのは、コンテンツアグリゲーターの存在だ。コンテンツアグリゲーターというのは、インターネット上でウェブサイトの運営者から許諾を得て情報を自動収集し、それらを編集してユーザーに提供するサービスである。コンテンツアグリゲーターは、クリック単価の高いカテゴリーを選び、該当分野のコンテンツを収集・掲示し、SEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)を工夫したうえで、そこに広告枠を設定する。そして、リスティング広告を出稿していた広告主に「さらに安く集客できます」と提案するのだ。リクルートも2012年に、求人情報専門コンテンツアグリゲーターの米インディードを買収している。こうした動きは、グーグルのリスティング広告に対する価格下落プレッシャーになり得る。

 3つめには、動画向け広告「トゥルービュー(※)」の数が増えることで、広告単価全体が下落するという見方だ。この点については、トゥルービューの売上高比率やその伸び率の数値が開示されればより詳細に議論できるが、現状では難しい。しかし、仮にこれまでの広告より単価の低い動画向け広告が伸びているとしたら、グーグルにとっては売上高成長率のわりには利益が増加しないというような状況も起こり得る。

(※)ユーチューブで動画を視聴する前に表示される広告。この広告は最低5秒間表示されるが、興味がなければ視聴者は広告をスキップできる。30秒以上視聴されれば広告主に課金される。クリック単価はオークション形式の料金システムで決まる。

 こうした状況において、クリック単価が下落している要因として挙げた1つ目と2つ目は外部環境・競争環境の変化であり、グーグルにとってその動向は気になるところだろう。さらに、グーグルはフェイスブックやリンクトインのようにコミュニティー基盤の確立に成功しているとは言い難い。前述したように、株式市場では「活発なコミュニティーを持つソーシャルメディア事業」の成長力を高く評価している。グーグルの業績がすぐに悪化するとは考えにくいが、同社が足下の収益をけん引する施策や事業を見出せないとしたら、株式市場が「もうグーグルは成長企業ではない」とみなすことも決して遠い話ではないだろう。

低収益なのに好調だった株価、新領域を攻めるリンクトイン

 最後にリンクトインの業績について考えてみたい。同社はほとんど利益が出ていないにもかかわらず、これまで株価が比較的良好に推移してきた。それはなぜだろうか。

 理由の1つは、リンクトインがコミュニティー型のソーシャルメディア基盤を持っていることに加えて、新しい事業領域への展開を進めているからである。これまでリンクトインは「ビジネス利用に特化したソーシャルメディア」として成長してきたが、確立したブランド力を生かして事業領域を広げ始めた。この取り組みが株式市場で好感されてきたと考えている。

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