泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

グーグルの成長力にも陰り? ネット広告市場の潮目を読む GFリサーチ 泉田良輔氏

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 ザッカーバーグ氏の言うように、「ユーザーがシェアしたくなる内容やその方法は時代とともに変わる」。これに合わせてソーシャルメディアは新たな共有/コミュニケーション手段を開発していかなくてはならない。

 もちろん、人間のコミュニケーション手段がそう簡単に大きく変わるものではない、という面もある。これだけハードウエアと通信インフラの性能が向上し、コミュニケーション手段が多様化してきても、メッセンジャーのようなテキストを中心としたメディアに根強い人気がある。これは米国だけの話ではなく、日本でLINEがよく使われているのと同じである。

 したがって、フェイスブックの強さは、「様々なコミュニケーション手段を使うユーザーに対して、最も広告効果が高いと思われるメディアを提供できる」という点にあるのではないか。ザッカーバーグ氏も、「我々の戦略は、広告数の増加を極力抑えながら、コンテンツの質やターゲティングの精度を上げることだ」と述べている。

 フェイスブックの2015年第1四半期のARPU(ユーザー1人当たりの広告収入)は2.5ドル、前年同期比で25%上昇している。経営者からすればARPUが高ければ高いほど良いのであろうが、一方で1人あたりに表示される広告の数が多くなれば、そのメディアからユーザーが離れる可能性が高くなる。したがって、先のザッカーバーグ氏の発言のように広告の数を絞りながら、広告としての質を上げることで単価を上げていかなければならない。

コミュニティー基盤が弱いグーグル、株式市場は今後どう反応?

 次に、現在のインターネット広告の雄であるグーグルはどのような状況なのか。業績は好調を続けているが、同社にとって不利になりそうな環境変化もそろりと始まっている。

 気になる指標は、インターネット広告の単価を示す「クリック単価(※)」だ。開示されている限りでは、2015年第1四半期までの9四半期連続でクリック単価が前年同期比で下落し続けている。

(※)ユーザーがクリックしたときに料金が発生するペイドクリック広告において、「1クリックあたりの広告料金」を指す。グーグルのクリック単価はオークション形式の料金システムで決まるため、特定の広告枠に対する広告主の入札価格、競合状況、広告内容などにより変動する。

 グーグルのクリック単価が下落している背景について考えてみたい。そこには大きく3つの要因があると考えている。

 1つは、グーグルの検索において「モバイルシフト対策がうまくいってないのではないか」という可能性である。クリック単価を上昇させるために必要なのは、検索したキーワードのユーザーをどれだけ広告主のサイトに「送客」できるかどうか。この送客ができれば広告の価値は上昇し、広告単価は上昇するはずだ。ただし、モバイル端末には各種の情報収集・共有アプリが充実しているので、そもそもユーザーの検索機会が奪われているとも考えられる。

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