泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

グーグルの成長力にも陰り? ネット広告市場の潮目を読む GFリサーチ 泉田良輔氏

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 コンテンツや広告の「動画への注力」と「モバイルへの最適化」は、最近の米国インターネット企業における合言葉のようになっている。フェイスブックのCOOであるシェリル・サンドバーグ氏も、PCからモバイルへ、ユーザーとの接点(タッチポイント)がシフトすることでユーザーの動画の見方が変化してきていると指摘している。たとえば、世界でフェイスブックの動画の65%がモバイル端末上で視聴されているとしている。動画の投稿も増えていて、フェイスブック上で1日に30億本の動画が視聴されているという。そうした動きをとらえ、企業のマーケティング担当者も動画広告を使ったプロモーションに積極的になっている。

 ただし、個人的な印象を述べると、必ずしも動画広告が従来の広告より魅力的であるとは限らないと思う。フェイスブック上でオートプレイ動画広告を最後まで視聴したことがあまりないからだ。テキストや写真、画像などであれば、今すぐ読みたいものか、見たいものかを比較的短時間で判断できるが、動画だとすぐには判断できない(だから見ない)。また、動画ともなれば、コンテンツのストーリーや編集がよほどしっかりしたものでない限り、最後まで視聴されないのではないだろうか。

 実は、フェイスブックの2014年第4四半期決算のカンファレンスコールでも、米国の証券アナリストから動画広告の強みやポテンシャルに関する質問が相次いだ。これに対し、サンドバーグ氏の回答で説得力のあるものは少なかった。フェイスブックにおける動画視聴回数の多さを強調し、顧客が満足しているという内容を繰り返し主張することが多かった。カンファレンスコールにおけるザッカーバーグ氏の態度についても、広告事業に関してはすべてサンドバーグ氏に回答を任せている感じが気になった。

 2015年第1四半期決算のカンファレンスコールでは、前四半期と同様に動画広告が始まったばかりであることを繰り返す一方、新たにSMB(中堅・中小企業)の広告ポテンシャルを強調していた。2015年第1四半期の広告出稿企業は200万社だったそうだが、これまで100万社以上のSMBが動画広告を出稿したとしている。わずかの間に、動画広告市場が大手企業からSMBにまで広がっており、市場が目まぐるしく変化していることは理解できる。ただし、動画広告のポテンシャルとその効果を評価するには、時期尚早という印象が残る。

広告の数を絞りながら、広告単価を上げる

 一方で、フェイスブックは、世界で最大規模のコミュニティーを有する「フェイスブック」をはじめ、3億人のユーザーがいる「インスタグラム」やマンスリー・アクティブユーザーが5億人いる「メッセンジャー」、同7億人の「ワッツアップ」など、多様なコミュニケーション手段を持っている。

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