泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

独占を狙うアマゾン、新たな事業モデルの布石に GFリサーチ 泉田良輔氏

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 アマゾンの課題は、売上高が年平均30%以上伸び続ける中で、いかに在庫管理を効率化し、外部のベンダーに対してアマゾンのバリューチェーンに参画するための魅力をアピールするかにある。仮にアマゾンがバリューチェーンの短縮化に成功すれば、さらに多くのベンダーが参画する可能性が高まり、アマゾンの品ぞろえが充実するということにもなる。

 こうしたバリューチェーンの改善も、「売れる商品があれば」という前提ありきの話ではあるが、アマゾンが持っていてアップルにないものは、世界中から届く注文に対して、迅速に商品を配送するシステムである。この点を理解できれば、なぜアマゾンが無人航空機(UAV)を活用した無人配送システムに挑戦するのか、合点がいく。アマゾンの競争優位を確立できる勝算の高い領域だからである。

 このようにアマゾンは、売上規模を大きく拡大させることで、将来的には様々なPBのハードウエアを扱える可能性があり、またバリューチェーンの最下流にいることでそのバリューチェーンを短縮化し、より多くのベンダーがアマゾンと協働できるようなシステムを生み出せる可能性を持っている。アマゾンを軸にそうした大きなシナリオを描くことができる今、ベゾスは明日の利益よりも「近い将来にウォルマートの売上高を抜くための投資」に突き進んでいるようにみえる。

泉田良輔 (いずみだ りょうすけ)
 GFリサーチ代表。個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)編集長、および株1(カブワン)投信1(トウシンワン)の監修も務める。それ以前はフィデリティ投信・調査部にて日本のテクノロジーセクターの証券アナリスト、日本生命・国際投資部では外国株式運用のファンドマネージャーとして従事。慶応義塾大学大学院卒。著書に『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』。東京工業大学大学院非常勤講師。

キーワード:経営、企画、技術、製造、経営層、営業、管理職、プレーヤー、経営、イノベーション、国際情勢

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