泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

独占を狙うアマゾン、新たな事業モデルの布石に GFリサーチ 泉田良輔氏

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スマート家電のプラットフォームを握れる好ポジション

 ここから先は私の推測の域を出ないが、次のように考えるのはどうだろうか。

 アマゾンは、アップルほどにはハードウエアに関する造詣が深いわけではない。また、アマゾンはインターネット企業ではあるが、取り扱っている商品の多くが有形である点は、広告収入がほとんどのグーグルとは異なる。では仮に、将来あらゆるハードウエア、特に家電製品などがネットワークにつながるような環境、つまり「IoT(Internet of Things)」時代になったらどうなるであろうか。

 今後もアマゾン自身でkindleのようなネットワークに接続可能なハードウエアを取り扱うことも可能である。加えて、外部のハードウェアベンダーがアマゾンの「顧客に対するリーチとサービスプラットフォームの利便性」を評価し、アマゾンのプラットフォームに最適な商品を開発・販売することもできる。これもまさにアマゾンのPB商品といえる。

 たとえば、アマゾンが家庭用エネルギーマネジメントサービス(EMS)を展開したとしよう。そして、外部ベンダーがアマゾンのサービスプラットフォームを利用できるように、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、エアコンを開発したとする。それらは常時ネットワークに接続し、現在の稼働状況や消費電力のデータをアマゾンに送信し、使用電力がユーザーの指定した最大使用電力を上回らないように運用される。また、ユーザーが外出先からでも家電製品を好きなように稼働させることができるものとする。

 こうしたスマート家電のコンセプトは既にあるが、スマート家電の運用を誰が行うのかというと、いまだはっきりしていない。グーグルは2014年1月にスマートデバイス企業Nest Labsの買収を発表しており、スマート家電運用領域において家電メーカーだけが主要プレーヤーとは言えなくなってきている。私見だが、その運用者として、アマゾンが最も有利なポジションにいると考えている。

 その理由は、アマゾンがすでに多くの家電製品を扱っており、流通チャネルも確立していることから、家電メーカーもアマゾンに合わせた製品開発を受け入れやすいからだ。加えて、アマゾンはデータセンターも自前で保有しており、クラウドサービスの展開とともにデータセンターの拡張性もある。家電メーカーがデータセンターのキャパシティーを用意してスマート家電を運用するよりも実現性が高いのではないか。

 さて、スマート家電時代が来たとき、アップルやグーグルはどう振る舞うであろうか。アップルは、ハードウエアのデザインにこだわるため、次々とアプリケーションを生み出していくためには時間が必要である。したがって、アプリケーションを増やそうとすればスピード面でアマゾンに劣るであろう。グーグルは、Nexusのようなスマホ/タブレットのプロトタイプをデザインし、その後はサムスンのような外部メーカーにアンドロイドOS(基本ソフト)を普及させるという戦略をとり、成功した。そのモデルをアプリケーション数の多い家電で実行するためには長い時間を必要とする。したがって、グーグルは自動運転車を優先するのではないかとみている。このようにしてみると、スマート家電についてはアマゾンのポジショニングが最も良さそうである。

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