泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

トヨタは大丈夫か、自動車産業の「弱点」を狙うイノベーター GFリサーチ 泉田良輔氏

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 最近、IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)という言葉が頻繁に使われ始めているが、第3象限のフェーズであれば「IoC(Internet of Cars)」という状況を迎えているはずである。すでに社会インフラとなっている次々世代自動車システムに対してハッキングが行われると、システム全体の運用に支障をきたすことが大きなリスクとなる。したがって、第3象限の主要プレーヤーはICTの運用やセキュリティーを担保できる競争優位が必要となる。

 グーグルがこうした第3象限の世界を描きながら自動運転車のデザインをしているのなら、合点がいく。なぜならば、グーグルはICT分野で圧倒的な競争優位を持つうえ、莫大な資金調達が必要となるインフラ整備(場合によっては電力供給なども)を、グーグルの強固なバランスシートを活用して実現できる可能性が高いからだ。

 これらの組み合わせは、既存の自動車メーカーにとっては様々な事業領域をまたぐ複雑なシステムである。結果、既存の自動車メーカーには模倣しにくく、競争できるメーカーの数は減り、グーグルにとってはより有利となる。

ソフトバンクにも第3象限のイメージがある?

 あくまで私の想像だが、米通信会社スプリントを買収したソフトバンクの孫正義社長にも、自動車産業の第3象限のイメージがあるのではないか。第3象限の世界が始まるとすれば米国が最初であろうし、国内総生産(GDP)の規模を考えれば十分な商機が見込める市場でもある。

 現在の通信会社は、携帯電話とスマートフォンを販売しているだけだ。しかし、将来すべての自動車に無線通信チップが搭載され、1台ごとに都市システム内で制御されるようになるとすれば、自動車が現在の携帯電話の販売網で扱われることもあり得る。通信会社からみれば、販売するハードウェアの価格がスマートフォンから自動車の水準にまで上昇し、事業規模が大きくなるというメリットがある。

 消費者からみれば、現在のスマートフォンのように月額料金の中で自動車を所有できるようになるかもしれない。さらに移動通信システムの中で自動車を運用することにより、自動車の安全性が向上したり、燃料コストを下げられたりするのであれば、消費者には次々世代自動車を購入するメリットがある。

 余談ながら、先日、ソフトバンクの孫正義社長が2015年2月にロボットを発売すると発表した。これはソフトバンクが単なる携帯電話の販売にこだわっていないことの一例と考えている。ハードウェアが通信インフラを経由してネットワークにつながり、サービスを提供できるのであれば、あらゆるハードウェアがソフトバンクの事業領域となるであろう。

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