泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

トヨタは大丈夫か、自動車産業の「弱点」を狙うイノベーター GFリサーチ 泉田良輔氏

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 2011年度以降、在庫日数がそれまでの200日強から300日前後へと上昇している。これは東日本大震災の影響だ。震災後、信越化学工業の工場が影響を受け、ルネサス エレクトロニクスのマイコンが不足したことで、完成車の生産ラインが止まる事態となった。結果として、完成車メーカーの資材・部品調達リスクを材料メーカーや半導体メーカーが引き受けていることが分かる。信越化学工業もルネサス エレクトロニクスも、取り扱う商品の世界シェアが高いため、仕方ない部分もある。しかし、今後自動車の電装部品に関わる企業や市場シェアの高い材料・部品を取り扱う企業は、厚めの在庫水準を保つための資金調達力が必要となる。

 一方で、ハードウェアでは最も効率的なバリューチェーンを持つ米アップルを見てみよう。次の図は、村田製作所のコンデンサーがアップル製品に採用されているという想定で、デバイスメーカー、EMS(受託製造サービス)、セットメーカー、小売りの各段階で、在庫日数を積み上げたものである(アップルの2013年度のデータは2013年9月期の数字を使用している)。

<FONTBOLD />アップルのバリューチェーンにおける在庫日数</FONTBOLD></p><p>出所:SPEEDAをもとにGFリサーチが作成

アップルのバリューチェーンにおける在庫日数

出所:SPEEDAをもとにGFリサーチが作成

 この図から分かることは、トヨタの在庫日数が280日程度であるのに対して、アップルは210日程度であるということ。また、セットメーカーであるアップル自身の在庫日数が極めて少なく、バリューチェーン全体で在庫日数が上昇している部分を電子部品メーカーである村田製作所や小売りである米ベストバイが引き受けている構造となっている。ここでも自動車産業と同様に、技術力があり、市場シェアの高い商品を取り扱っているデバイスメーカーなどは資金調達力を求められる構造となっている。

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