泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

空海、利休、ジョブズ---成功の共通点 GFリサーチ 泉田良輔氏

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 米アップルのカリスマ経営者、スティーブ・ジョブズが2011年10月5日に亡くなってから、アップル製品のユーザーや株式投資家の間で「アップルは、ジョブズがいたころのアップルでいられるのか」という議論が絶えない。アップルの製品はこれまで同様にクールなのか、業績は悪化しないのだろうかという懸念は常にある。

 しかし、ジョブズが成し遂げたことの中には「システムとしての永続性」を備えた要素が多分に含まれている。ジョブズは、アップル(あるいは自分自身?)を永遠たらしめようとする極めて重要なものを残していったのだ。

 問題は、そのシステムを適切かつ発展的に運用していけるかどうか、という点である。

 実は、日本の歴史を振り返ると、アップルと似たようなシステムを構築し、数百年から1000年以上にわたって運用されてきた事例がある。それは「真言密教」や「茶の湯」である。今回は、アップル大躍進の原動力となったビジネスモデルを、真言密教、茶の湯と比較しながら共通点を振り返ってみようと思う。気楽に読んでいただきたい。

「編集能力」に長けた空海とジョブズ

 なぜ真言密教と茶の湯なのか。これは、真言密教を大成した空海と茶の湯のルールを体系化した千利休の関係が、アップルとジョブズのそれに似ていると考えているからである。真言密教も茶の湯もアップルのビジネスモデルも「1つのシステム」であり、空海や利休、ジョブズはそのシステムデザイナーだったといえる。

 私は、システムデザイナーとしての最も卓越した才能は「編集能力」であると考えている。編集作業とは、多くの情報の中から意味のある要素を取り上げ、その一つひとつの要素を組み合わせていくことで、伝えたいメッセージをストーリーに仕上げる作業である。これに成功したシステムは、運用をしっかりと継続することで長い寿命を獲得できる。真言密教や茶の湯が数百年も継承されていることを考えれば、ジョブズのシステムデザインをアップルの後継者がうまく運用することで、そこから長期にわたって利益を上げ続けられる可能性がある。

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