中小企業の「見つめ直す経営」

独自性を追求しながら「見える化」する 日本政策金融公庫総合研究所 主任研究員 藤田 一郎氏

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 その結果、人手不足に苦しむ中小企業が増えています。「全国中小企業動向調査」において中小企業が経営上の問題点として「求人難」を挙げる割合をみてみましょう。1990年代初めは、史上最高といわれる好景気のなかで、30%前後と非常に高い水準を記録しました(図表3)。バブルがはじけると急速に低下しましたが、2010年代に入って再び上昇してきています。

図表3 中小企業の「求人難」の推移

資料:日本政策金融公庫総合研究所「全国中小企業動向調査(中小企業編)」(注)経営上の問題点について択一式で尋ね、「求人難」を選択した企業の割合。

資料:日本政策金融公庫総合研究所「全国中小企業動向調査(中小企業編)」

(注)経営上の問題点について択一式で尋ね、「求人難」を選択した企業の割合。

 当研究所が従業員数20人以上の中小企業を対象に実施した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」によると、2016年末時点で従業員が「不足」と回答した企業は50.2%に上りました。従業者数20人未満の企業を対象に2016年9月に実施した「小企業の雇用に関する調査」でも、従業員が「不足」と回答した企業は32.9%と、2009年以降7年連続で上昇しています。

 こうしたなか、給与水準や定年退職年齢の引き上げ、定年後の再雇用などで人手を確保しようとする動きはあるものの、対応策を採れない企業も少なくありません。「全国小企業月次動向調査」(2016年9月)で人手不足と回答した企業にその対応策(複数回答)を尋ねたところ、「仕事の一部外注」が25.6%、「増員(パート・アルバイト)」が23.7%となる一方で、「特に対応していない」も25.1%に上っています(図表4)。その多くは、人手を募集したものの応募がなかった企業や、そもそも募集をあきらめている企業です。人手不足の問題はもはや、中小企業にとって解決が困難になってきているのではないでしょうか。

図表4 従業員が不足している場合の対応(複数回答)

資料:日本政策金融公庫総合研究所「全国小企業月次動向調査」(2016年9月)(注)このところ(3カ月程度)の仕事量からみた従業員の過不足について「不足」と回答した企業に尋ねたもの。

資料:日本政策金融公庫総合研究所「全国小企業月次動向調査」(2016年9月)

(注)このところ(3カ月程度)の仕事量からみた従業員の過不足について「不足」と回答した企業に尋ねたもの。

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