BCGが読む経営の論点2018

働き方改革 極意は「アジャイル」

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 働き方改革を実現する極意は何か。キーワードは「agile(アジャイル)」。オープンかつ臨機応変なソフト開発の手法として使われるIT用語だが、その発想は労務管理にも有効だという。ボストン コンサルティング グループのエースコンサルタントが解説する2018年の経営の論点。最終回は、働き方改革をテーマにパートナーの山井康浩氏が提言する。

細分化組織の弱点「処理待ち」を減らす

 経営者/ビジネスパーソンの皆様とアジャイルに関して話をすると、アジャイルをソフトウェア開発の世界の手法だと考えておられることが多い。しかし、アジャイルの方法論・発想はソフトウェア開発にとどまらず、幅広い領域で活用できるものだ。

 多くの企業は、組織の専門性を担保するために、ヒエラルキー型の組織構造をとっている。組織は事業部門と機能部門(コーポレートセンター部門)に細分化され、それぞれが顧客セグメントや専門性に応じて細分化されたミッションの下に業務を処理していく。こうした組織では、専門性は担保されるが、一方で非効率性も内包している(図表1)。

 細分化された組織では、業務は複数の部署にまたがることになるため、部署間で業務を受け渡す際、いわゆる処理待ちが発生してしまう。

 例えばこうした話がよくある。ある案件について部署間で調整を行う際、ある部署の担当者が「持ち帰って詰めます」と案件を持ち帰る。持ち帰った案件は担当から課長・部長・担当役員と上に諮る必要があり、ここでも処理待ちが波及的に発生する。

 こうした処理待ちが多発的に起こると、意思決定に数週間から数カ月かかってしまう。これが顧客対応であれば顧客満足度に大きく影響し、遅延している間に競合はどんどん先に進んでしまう。

 さらに、部署間で業務を受け渡す回数が増えれば増えるほど、より多くの手戻りが発生する。こうした手戻りは、業務が細分化している場合に特に顕著になる。各部署の担当者は、細分化された組織に身を置いているため自分の業務が全体の中でどのように位置づけられ、顧客や事業全体にどういう影響を与えているか理解していないことが多いからだ。小さなミスが大きなエラーにつながるような複雑な環境においては、こうした手戻りは深刻な問題となる。

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