BCGが読む経営の論点2018

世界で少子化、米中印どれが成長持続? シニア・パートナー 森健太郎氏

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特異な米国、GDPと出生率の高さ両立

 2つ目は、ポスト新興国ブームへの備えである。新興国の経済発展に伴って、洗剤を売って、バイクを売って、車を売って......という形での事業成長が、いずれ終盤に向かっていく。まだしばらく先だが、世界の総人口も減少に転じる。その時に、今の既存事業は、成長事業であり続けることができるのか。それとも、健康に代表されるより永続的な領域に、軸足を移していくのか。あるいは、製品の販売から、保守・運用・メンテナンス、金融などへとビジネスモデルを転換していくのか。20年、30年というとまだまだ先のようだが、意外とあっという間だ。そろそろ種まきは必要だろう。

 そして、3つ目は、意外と思われるかもしれないが、米国である。

 図表6をご覧いただきたい。1人当たりGDP(経済発展の度合い)を横軸に、合計特殊出生率(少子化の度合い)を縦軸に示したものである。それぞれの点は2015年の主要国の位置を示している。実線は、1960年から2010年までの間、日本がたどってきた道のりだ。

 前述したように、中国やタイは日本のたどった道と比べて、経済発展のスピードよりも早く少子化が進展している。同じアジアでも、インドネシアやインドはこれからだ。EUは、個々の国を見るとバラツキはあるが、まとめてみると一人当たりGDPの割に出生率が日本よりやや高い水準にある。

 ここで特筆すべきは米国の特異性で、日本の軌跡から大きく逸脱し、高い1人当たりGDPを実現していながら、比較的高い出生率を保っている。出生率1.8人(2015年)だと、自然増だけでは人口を維持できないが、移民の影響を含めると、今後もゆるやかながら人口を維持・拡大していく見通しだ。

 戦後の高度経済成長を駆け抜けてきた多くの日本企業にとって、最重要海外市場は長らく米国だった。やがて新興国ブームが到来し、新興国展開が重要テーマとなった。新興国ブームが後半戦に差し掛かるなかで、自社のポートフォリオにおいて米国市場を再びどのように位置付けていくのか、再考するタイミングに差し掛かっている。

ボストン コンサルティング グループ編 『BCGが読む経営の論点2018』(日本経済新聞出版社、2017年)「5 世界で進む少子高齢化」から

キーワード:経営、イノベーション、マーケティング、ものづくり、グローバル化、フィンテック、M&A、働き方改革、AI、IoT、デジタルトランスフォーメーション、管理職

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