はじめての著作権法

そのコピペは違法?知らないと困る著作物の4要件 弁護士(森・濱田松本法律事務所所属) 池村 聡氏

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 いまや多くの人たちがなんらかの形で文章を書き、写真を撮影したりイラストを描いたりしています。しかし、不用意にコピペした文章、見本を参考に描いたイラストや撮影した写真が著作権侵害として問題になるケースは決して珍しくありません。では、著作権侵害をどう防ぐのか。著作権法に詳しく弁護士で、文化庁で著作権調査官として働いた経験もある池村聡氏が、著作物とは何かについて解説します。

 著作権とは「著作権者」が他人に「著作物」を無断で「利用」されない権利です。このことから、著作権という権利は、「著作物」に関してだけ主張できるのであって、「著作物」でないものに関しては主張できないということがわかります。

 したがって、あるものが著作物かどうかは、著作権を主張できるかどうかということに正に直結する問題であり、その意味で、著作物とは何かということは、非常に重要な問題です。それでは、著作物とは一体何なのか。今回は、そのことをざっくりと説明します。

「著作物」は「情報」である

 まず最初に押さえなければならないポイントは、著作物それ自体は単なる情報であるということです。

 たとえばAさんが彼氏であるB君から1枚の音楽CD(コンパクトディスク)をプレゼントされたという事例を考えてみましょう。

 いきなりですが、第1問です。Aさんはその後B君と別れることとなり、思い出の品々は、全て処分することを決意しました。AさんはB君からもらったCDをB君の許可なく処分することは許されるでしょうか?

 常識的に考えれば、そんなこと許されるに決まってますし、法律上もそれが正解なのですが、なぜ AさんがB君の許可なくCDを処分することが許されるのかと言えば、このCDはAさんの持ち物(=所有物)だからです。自分の持ち物を煮ようが焼こうが捨てようが、どう処分しようが構わないからです。法律的に表現すれば、Aさんは「CDという物体」を自由に処分できる権利である「所有権」を持っているからです。もしこのCDがB君から借りたものであれば、CDの所有権を持っているのはB君ですので、AさんはB君の許可なくCDを処分することは許されません。図書館で借りた本を図書館に返さずに勝手に捨てることが許されないのと一緒です。

 それでは、続いて第2問です。AさんはB君からプレゼントされたCDに収録されている音楽がとても気に入り、是非みんなに聴いてもらいたいと思いました。そこで、Aさんは誰からも許可を得ることなく楽曲のデータをインターネット配信することは許されるでしょうか?

 第1問とは異なり、この行為は典型的な著作権侵害行為であり、許されない違法行為です。なぜ許されないかというと、AさんはCDという「物体」を自由に処分できる権利である「所有権」は持っているものの、そこに収録されている「音楽」という目に見えない「情報(=著作物)」をネット配信することができる権利である「著作権」までは持っていないからです。たとえこのCDが、市販の音楽CDではなく、B君が「お前のことを思って作った曲だぜッ」とか言ってAさんに渡した自作のダサいラヴソングが収録されているものだったとしても、AさんがB君を笑いものにしようと思って(著作権を持っているB君に)無断でネット配信することは、同様に許されません。

 世の中には、自分が所有しているCDなのだから、そこに含まれている情報も含めてどう使おうが勝手である、などと誤解している人もいるのですが、これは、CDに収録されている「著作物」という目に見えない「情報」に関して「著作権」という権利が働いているということを理解していないからです。

 まずは、「著作物は情報である」という点をしっかり押さえましょう。