石澤卓志の「新・都市論」

インバウンド需要「モノからコト」は本当? みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 ホテル計画には、客室数やオープン時期が未定のものも多く、それらの捉え方によって結果が大きく異なる。他の不動産専門誌の調査では、東京で141件・2万9,100室、大阪で105件・2万2,000室、京都で56件・8,300室と、さらに多くの計画が見込まれている(「日経不動産マーケット情報」2017年8月号)。

 一方、ホテルのストックは、2015年3月時点で9,967棟・84万6,332室となっている(厚生労働省「衛生行政報告例」)。上記のホテルの新・増設計画9万2,002室には、2021年以降にオープン予定のものが15件(客室数は未確定)、オープン時期が未定あるいは非公開のものが94件・7,496室(件数には客室数が未確定の計画を含む)があるが、2020年までに客室数が10%程度増えることになる。

 これまでの宿泊施設の整備状況を見ると、ホテルの客室数はミニバブル期の2007年に前年比+4.7%と大幅に増加したが、2011年以降は同+1.5%以下の増加にとどまっている。一方、和風旅館は、就業者の高齢化や後継者不足などが影響して減少が続いている。和風旅館の客室数は、1996年には100万2,024室と、ホテルの55万6,748室の約1.8倍のストックがあったが、2009年に79万1,893室に減少して、ホテルの79万8,070室を下回った。さらに2015年には70万1,656室と減少が続き、ホテルの84万6,332室との差が拡大した(図表5)。

図表5:ホテル、旅館の整備状況

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」

 和風旅館の客室数の減少ペースは、ホテルの客室数の増加ペースを上回っている。この動きも宿泊施設の不足に拍車をかけていると言える。

カプセルホテルや民泊施設の増加は限定的

 最近では、日本独自の宿泊施設である「カプセルホテル」や、カプセルホテルとビジネスホテルの中間形態とされる「コンパクトホテル」など、多様な形態の宿泊施設が増えている。これらの施設は、旅館業法では「ホテル」ではなく「簡易宿所」に区分される。新たな宿泊施設の増加が、「ホテルの供給過剰」につながるとの見方もある。

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