石澤卓志の「新・都市論」

五輪後も東京の不動産活況は続く みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 不動産関係者には、今後の不動産市況について「2020年のオリンピック開催までは好調を維持するが、オリンピック終了後は落ち込む」という予想が多い。しかし、東京23区内で計画されている再開発事業の状況を見ると、オリンピック開催前にオフィスビル市況はいったん「節目」を迎えることになりそうだ。2021年以降、東京都心部では多数の大規模開発が相次いで完成する見込みであるが、オリンピック開催を機としたインフラ投資や規制緩和によって、都市が継続して発展する基盤が構築されるため、不動産市況が低迷する可能性は低いと思われる。

2018年がオフィスビル市況の「節目」

 東京23区内における大規模ビル(延床面積1万m2以上)の供給動向を見ると、2015年の109万m2に対して、2016年は102万m2、2017年は69万m2と、2年連続で減少が見込まれている(森ビル調べ)。特に2017年は、大規模開発における権利調整の難航や、行政手続きの遅延などの要因が集中し、ビル供給量は2015年の6割強に落ち込むと予想される(図表1)。

図表1:東京23区における大規模オフィスビルの供給動向

注:延床面積1万m2以上の大規模ビルの供給状況。

注:延床面積1万m2以上の大規模ビルの供給状況。

出所:森ビル(株)「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査(速報版)」2016年4月21日

 2018年以降のビル供給量は増加に転じ、2020年までは毎年120万~130万m2台の供給量が見込まれる。従来の予想では、2018年が131万m2、2019年が183万m2と、2019年が相当な大量供給になると考えられていた(2015年12月1日付「空室が増えてもオフィスビルが好況の理由」参照)。

 建築コストの上昇などを背景に、計画を見直す例が増えたため、2019年のビル供給量は、従来予想の183万m2から124万m2へ減少し、2018~2020年の供給量は年間120万~130万m2と、平均化した。2019年の供給量が突出した形ではなくなったため、この点でビル市況が大きく落ち込む可能性は低くなったと言える。

 2018年以降の各年の供給量は、過去30年間(1986~2017年見込み)の平均値(150万m2)をやや下回る。しかし、比較的大量の供給が3年間続くため、景気次第ではビル市況が悪化する可能性もある。不動産関係者には「オリンピック開催までビル市況は好調を維持する」との見方が強いが、2018年にいったん「節目」を迎えることになりそうだ。

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