石澤卓志の「新・都市論」

根深い「空き家問題」、都市部でも急増へ みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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日本の「空き家率」は世界トップクラス

 日本の「空き家率」は、主要国の中で最も高い水準である。国によって統計の対象や集計方法が異なるため、単純な比較はできないが、ドイツの空き家率は1%前後、英国は3~4%の低い水準で推移している。米国の空き家率は2016年時点で貸家が7.0%、持家が1.7%と欧州よりも高いが、別荘が相当数を占める。また、米国の空き家率は景気動向によって大きく変動し、景気が回復すると空き家率が低下する(図表2)。

図表2:主要国の「空き家率」

注:米国は、各年第1四半期の数値。出所:日本:総務省「住宅・土地統計調査」英国、ドイツ:不動産流通近代化センター「不動産コンサルティングに関わる海外調査」(2013年)

注:米国は、各年第1四半期の数値。

出所:日本:総務省「住宅・土地統計調査」

英国、ドイツ:不動産流通近代化センター「不動産コンサルティングに関わる海外調査」(2013年)

米国:United States Census Bureau「Housing Vacancies and Homeownership」

 欧州では、都市計画や土地利用に関する規制が厳格で、住宅を新築できるエリアが制限されている国が多く、住宅取引は中古住宅が中心である。日本は「家余り」の状況でも新築住宅の供給が多い。流通市場における中古住宅の構成比は、英国の88.0%、米国の83.1%、フランスの68.4%に対して、日本は14.7%にすぎない(調査時点は2012年~2014年で国によって異なる、国土交通省「住宅経済関連データ」による)。

空き家の半数は相続によって発生

 「その他空き家」は、1983年には125万戸だったが、1993年に149万戸(10年間で1.19倍)、2003年に212万戸(同1.42倍)と増加ペースが加速し、2013年に318万戸(同1.50倍)と、過去最多を記録した。

 空き家は、どのような理由で発生するのだろうか。国土交通省の調査では、「その他空き家」のうち、「相続して取得」したものが56.4%を占める(2014年空家実態調査)。別の調査でも「個人住宅が空き家となった理由」として、「親所有の住宅を相続したから」が44.0%を占め、次いで「住み替え前の住宅をまだ保有しているから」が23.8%、「別荘として購入したが使っていないから」が15.4%となった(価値総合研究所、2013年11月「空き家所有者アンケート」)。

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