石澤卓志の「新・都市論」

外資の「爆買い」が日本の不動産市場を救う!? みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 物流施設への投資は、J-REITとしては、三井物産系の日本ロジスティクスファンド投資法人が先駆であるが、数年前までは、あまり目立たない分野だったと言える。しかし、2012年暮れから2013年春にかけて、GLP投資法人と日本プロロジスリート投資法人が上場して以来、投資家からの注目度が高まった。GLP投資法人のスポンサーはGLPグループ、日本プロロジスリート投資法人のスポンサーは、米国REITのプロロジスである。

市場拡大に貢献も

 日本では長らく、物流施設分野に有力なデベロッパーが存在せず、日本国内の大規模物流施設(延床面積5,000坪以上)の約44%は、プロロジスが開発したものとされている(2012年9月末時点、CBRE調べ)。一方、GLPグループは、プロロジスがリーマンショック後に一時的に日本国内の事業を縮小した時期に、その保有物件を譲り受け、国内最大の物流施設事業者となった。これらの点で、日本の物流施設事業は、外資系の2社によって開拓されたと言える。

 介護付き老人ホームなどのヘルスケア施設は、現状でも優良施設が不足している上に、今後ほぼ確実に需要が拡大する分野と考えられるが、不動産投資の対象としてはスタートしたばかりである。ヘルスケア施設特化型のJ-REITは、2015年3月に2法人目が上場したものの、まだ規模は小さいと言える。

 Parkway Life REITは、シンガポール証券取引所に上場しているヘルスケア施設特化型REITで、現在では、この分野においてアジア最大のREITとなっている。Parkwayの運用資産は、2015年1月末時点で42物件・約1,400億円に達しているが、このうち日本の不動産が約475億円と、全体の約34%を占めている。Parkwayは、上場当初から日本を重要な投資先と位置づけており、北海道東神楽町(旭川市近郊)、三重県鳥羽市、愛媛県新居浜市など、地方の施設も多数取得している。

 外国人による不動産購入を「爆買い」と表現する背景には、「外資に日本市場が席巻される」との危機感があるように感じられる。しかし、外資系ファンド等が、日本企業が不得手とする分野や、投資実績が乏しいエリアへの投資を通じて、不動産投資市場の拡大に貢献したことにも、注目すべきと思われる。

石澤 卓志(いしざわ たかし)

1958年慶應義塾大学法学部卒、日本長期信用銀行入行。調査部などを経て長銀総合研究所主任研究員。1998年第一勧銀総合研究所で上席主任研究員。2001年みずほ証券に転じ、金融市場調査部チーフ不動産アナリスト。2014年7月から企画グループ経営調査部上級研究員。主な著書に「東京圏2000年のオフィスビル 需要・供給・展望」(東洋経済新報社 1987年)、「ウォーターフロントの再生 欧州・米国そして日本」(東洋経済新報社 1987年)、「東京問題の経済学(共著)」(東京大学出版会 1995年、日本不動産学会著作賞受賞)などがある。国土交通省「社会資本整備審議会」委員など省庁、団体などの委員歴多数。

キーワード:経営、企画、経営層、管理職、プレーヤー、経理

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