石澤卓志の「新・都市論」

外資の「爆買い」が日本の不動産市場を救う!? みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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外資が新たな投資分野を開拓

 外資系ファンド等による投資の増加は、投資対象エリアの拡大や、不動産の用途の多様化などの点で、日本の不動産市場に大きな変化をおよぼしている。日本法人としては最大の不動産の「買い手」であるJ-REITによる投資は、大都市圏のオフィスビルに偏在している。2015年4月末時点でJ-REITが保有する不動産の立地場所は、東京圏が74.2%を占め、次いで大阪圏が13.0%、名古屋圏が4.1%となっており、地方圏(三大都市圏以外)は8.7%にすぎない(図表3、取得価格ベース)。

図表3 J-REITが保有する不動産の状況

注:2015年4月末時点 出所:みずほ証券

注:2015年4月末時点

出所:みずほ証券

 特に東京都心3区(千代田、中央、港)に、全体の26.4%が集中している。また、J-REITが保有する不動産の用途は、46.4%がオフィスビルで占められ、以下、商業施設18.7%、住宅17.0%、物流施設10.5%、ホテル3.3%などの順となっている。これは、日本の「伝統的な不動産業」が、オフィスビルと住宅を中心に発展してきたことが影響していると思われる。

 不動産会社以外の企業がJ-REIT市場に参入し、スポンサー企業(設立母体)が多様となるに伴って、運用対象となる不動産の範囲が拡大してきた。たとえばホテル事業は、「伝統的な不動産業」の得意分野には入っておらず、日本初のホテル特化型J-REITは、ゴールドマンサックス系のジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(現ジャパン・ホテル・リート投資法人)だった。

 ホテルは、東京オリンピックの開催などで需要の拡大が見込めるため、外資系ファンド等にとっても重要な投資分野となっている。たとえば、シンガポールの上場企業であるIPCは、2009年に日本に進出し、マンションやホテルへの投資を進めている。IPCを傘下とするエセックス(Essex)グループは、コンピューター関連事業で数多くの日本企業を顧客としてきた経験から、日本の文化・慣習への造詣が深いと言われている。

 IPCは、2013年末までに、日本国内で9棟のホテルを取得し、2012年からは「ネストホテル」のブランドで、ホテルのオペレーターとしても実績を重ねている。IPCの投資対象エリアは幅広く、岡山、松山、熊本などの地方都市や、東京の郊外部(阿佐ヶ谷)の物件も含まれている。

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