石澤卓志の「新・都市論」

外資の「爆買い」が日本の不動産市場を救う!? みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 最近になって外資による不動産購入が増加していることは確かであるが、日本市場は以前から、外資系ファンド等にとって重要な投資対象だった。過去数年間に日本国内で行われた不動産売買を見ると、各年の取引金額トップは、次のように、外資系ファンド等が当事者となったものが占めている(金額は一部推計)。

・2011年:シンガポールのグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)が組成したファンドが、中国投資有限責任公司(CIC)と折半出資して、米国のラサール(LaSalle Investment Management)から、物流施設15物件を1,226億円で取得。

・2012年:GLP系のJ-REITであるGLP投資法人が、上場に際してGLPグループから、物流施設30物件を2,087億円で取得。

・2013年:香港のアジア・パシフィック・ランド(APL)や、セキュアード・キャピタルなどの企業連合が、ダヴィンチのSPCから、「芝パークビル」(通称:軍艦ビル)を1,170億円で取得。

・2014年:米国のブラックストーン・グループが、日本GEから、賃貸マンション約200棟(約1万戸)を約2,000億円で取得。

 この他、各年の取引額上位10位までのうち半数程度を、外資系ファンド等が当事者となった事例が占めている。たとえば2014年には、シンガポール政府投資公社(GIC)が「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」を、セキュアード・キャピタルから、約1,700億円(推計)で取得した事例があった。同ビルは、香港のパシフィックセンチュリー・グループが事業者となって、JR東京駅前に2001年に竣工した、地上32階地下4階、延床面積81,692m2の大規模ビルである。GICは、同ビルを長期保有すると見られる。

 2014年8月には、森トラストがローンスターから、「目黒雅叙園」を約1,300億円(推計)で取得した。さらに同ビルは、2015年1月に、森トラストからラサールに売却された。ラサールは、本件についてCICから出資を受けており、同ビルの取得価格は約1,430億円と推計されている。

 このように、外資系ファンド等による不動産取引が、以前から日本の不動産市場において重要な位置を占めていたことを考慮すると、「爆買い」という表現には、やや違和感がある。ただし2014年は、日本国内で1,000億円以上の大型取引が少なくとも6件(2011年は1件、2012年・2013年は各3件)あり、不動産取引が活発化する中で、外資系ファンド等の存在が一層目立つようになってきたと言える。

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