石澤卓志の「新・都市論」

外資の「爆買い」が日本の不動産市場を救う!? みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 最近、外国人による日本の不動産の「爆買い」が話題となっている。ただし、外国人(本稿では「外資系ファンド等」と記載する)による不動産取引は公表されていないものが多く、調査機関などによるレポートも、事例の把握状況によって内容は相当に異なる。

投資額は過去最大規模に

 都市未来総合研究所の「不動産売買実態調査」によれば、2014年度に外資系ファンド等が取得した国内不動産は、前年度の2.8倍に当たる1兆1,949億円に達し、国内不動産の取引総額の23%を占めた。一方、外資系ファンド等による不動産売却も、2014年は9,093億円と前年度比で3割増加した。

 日本不動産研究所の調査によれば、外資系ファンド等による不動産取得は、2014年前半が1,885億円だったのに対して、2014年後半は5,590億円と、大幅に増加した。しかし、売却額も増加し、2014年前半は買い越したものの、2014年後半は1,300億円程度の売り越しとなった(図表1)。

図表1 外資系ファンド等による不動産売買

注:一般財団法人 日本不動産研究所の調査による。出所:公表資料により、みずほ証券が作成

注:一般財団法人 日本不動産研究所の調査による。

出所:公表資料により、みずほ証券が作成

 上記の調査に示されるように、外資系ファンド等が主体となった不動産取引は、「爆買い」だけではなく、売却も増加している。アジア系のファンド等は、後述するように、日本の不動産の投資利回りが「相対的に」高まってきたことや、円安に注目して不動産を積極的に購入している。一方、以前から日本の不動産を保有してきた欧米系のファンド等は、円安の進行によって、ドルベースの資産価値が下落してきたため、不動産の売却を進めている。

 また、アジアの新興国の成長率鈍化などを受けて、欧米系の不動産会社を中心に、アジアでの不動産投資部門を売却する例が出ており、日本に投資する外資系ファンド等の顔ぶれにも変化が出始めている。たとえば、英国のアビバ(Aviva Investors)は、2014年12月に、アジア太平洋地域の不動産事業を、米国のJPモルガン・アセットマネジメントに売却した。米国のGEリアル・エステートは、不動産ローン事業を拡大する一方で、世界規模で実物不動産への投資を縮小しており、日本においても不動産売却を進めている。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。