石澤卓志の「新・都市論」

東京の地価上昇はバブルの危険水域へ みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 国税庁が7月1日に公表した路線価によれば、全国約33万地点の標準宅地の平均変動率は前年比▲0.4%(前年調査では同▲0.7%)と、7年連続で下落したものの、下落率は5年連続で縮小した。

路線価は7年連続の下落だが回復傾向

 路線価は相続税や贈与税の税額を算定する際の基準となる土地評価制度。国税庁が不動産鑑定士の意見などを参考にしながら、公示地価(調査日は各年1月1日現在)の「8割程度を目安」として算出することになっている。したがって路線価は、公示地価とほぼ同様の傾向となる。一般の市民にとって路線価は、課税額に直接的に影響する点で、公示地価よりも「身近なデータ」と言える。

 国税庁は路線価図などとともに、全国47都道府県の県庁等所在都市における最高路線価(本稿では便宜的に「県別最高路線価」と記載する)を公表している。2015年路線価では、上昇が21都市(前年調査に比して+3都市)、横ばいが14都市(同+6都市)、下落が12都市(同▲9都市)となり、半分近くの都市が上昇した。

 2015年路線価において、全国で最も地価水準が高かった場所は、30年連続で、東京・銀座「鳩居堂」前の「銀座中央通り」で、1平方メートル当たりの路線価は26,960千円(前年比+14.2%)と、上昇率も全国トップだった。同地点の路線価は、バブル経済期の1992年に36,500千円を記録したが、バブル崩壊によって1997年には11,360千円に落ち込んだ。

図表1 東京「鳩居堂」前の路線価の推移

出所:国税庁

出所:国税庁

 同地点の路線価は、その後もミニバブルやリーマンショックなどによって大きく変動したが、2015年はピーク時の約74%の水準まで回復した(図表1)。「鳩居堂」前の30年間の地価動向には、バブル経済期(1987年~1992年)とバブル崩壊期(1993年~1996年)、ミニバブル期(2006年~2008年)とその調整期(2009年~2010年)など、東京の地価の歴史が反映されていると言える。

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