ニッポンのインフラ力

EVインフラは「スタンド」より「線路」で 堀洋一・東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授に聞く

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協力:明電舎

 世界の自動車産業で、ガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトが急速に進みつつある。日本ではこれまでエコカーといえばハイブリッド車が「主役」で、EVに必要な充電インフラの普及は出遅れているといわれる。EV時代を見据えた自動車インフラを効率的に進めるには何が必要か。経済産業省のEV・PHVロードマップ検討会の座長も務める、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の堀洋一教授に聞いた。

走行中の車にワイヤレス給電

――自動車は日本の主力産業であり、世界的なEVシフトへの対応は日本の競争力を左右する課題と言えます。EVの普及には急速充電器を始めとする充電インフラが欠かせませんが、整備の状況はどうでしょうか。

 電力中央研究所のシミュレーションによると、日本の主な道路の約30キロごとに急速充電器があれば、理屈の上では「電欠」を起こさずに走れるとされている。その数は約6100基。2017年3月末時点の公共用充電器の設置状況は、急速式が約7100基あり、数の上では整備は進んでいるように見える。ただ、都道府県別にみると設置場所には偏りがあり、ドライバーが安心してEVを走らせる環境にはなっていない。

――なぜ、思うように普及が進んでいないのでしょうか。

 一言でいうと、「ガソリンスタンドのまね」をしようとすることに問題がある。ガソリン車の燃料はガソリンだが、EVのエネルギーは電気だ。それなのに、なぜEVも同じように「止まって」「短時間で」「大きな」エネルギーを入れようとするのか、昔から不思議で仕方がないと言ってきた。

 一般的なセルフ給油所の場合、給油にかかる時間は2~3分だが、EVの充電は最低でも20~30分かかる。また、走行距離も短い。解決するには走行距離を伸ばすか、充電器を増やすしかないが、走行距離を伸ばすために電池を大容量化しようとすると、原料となるリチウムやコバルトといった資源の高騰や枯渇を招きかねない。充電器の設置には1基あたり500万円ほどかかり、もしガソリンスタンド並み(約3万)に設置しようとすれば、莫大なコストがかかる。

――スタンド方式からの発想の転換が必要というわけですね。具体的には、どのようなインフラを設置していけばよいのでしょうか。

 イメージしているのは、走行しているEVに無線で電気を供給する仕組みだ。道路の下や側壁に電線を敷き、ワイヤレスで給電する。言い換えれば、電車のように、電力インフラからEVに直接エネルギーを供給するわけだ。そうすれば、走行距離という概念はなくなる。大容量の電池は不要となり、資源枯渇問題からも開放される。電気は作ったらすぐ使うのがベストであり、ためて使うのは賢くない。

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