天下人たちのマネジメント術

中国人観光客、次に求める3つの「S」 袁静氏が読み解く「中国セレブ消費」(3)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

たくさん支払う人にはサービス上乗せを

 「中国人の家族旅行は子供を中心に考えるので時差がなく距離も近い日本は魅力的です。ところが日本では高級旅館ほど子供が学び遊べるサービスがありません。中国の子供も受験勉強が大変で癒やしが必要です。例えば日本の自然を満喫できる野外教室などのプランは富裕層に大いにアピールすると思います。最近北海道のトマム温泉の知名度が高まっています。子供向けの施設やスキー教室などのサービスが好評だからです」

 ーー次に来る第3の「S」は「特別」(special)ですね。

 「『特別扱い』(special treatment)です。中国では払う料金でサービスが違ってきます。上海ではタクシーを配車アプリで頼みますが、料金によって車の種類も到着するまでの時間も違ってきます」

 「最新病院にはVIP外来があります。通常なら4~5時間も待たされるのを優先的に診察してくれるサービスです、受付料金に約8500円かかりますが、それを当然と受け止めている中国人にとって日本のサービスは画一的に思えます。『日本の仲居さんは頼めば何でもやってくれるくらい親切だが、向こうからは声をかけてくれない』は訪日中国人の共通認識です」

 「日本の旅館も特別なオプションサービスをさまざまに増やし、サービスの可視化を進めるべきと思います。特に違和感を覚えており、急いで充実すべきは送迎サービスなどでしょう。奮発して1泊5万円の部屋を予約したのに、よれよれの法被を来た番頭さんがマイクロバスで駅まで出迎えているとガックリ来ます。欧米などの高級ホテルでは当たり前のように送迎リムジンが用意されていたりします」

 「少ししか払わない人も大切にするのは日本人の美質でしょう。しかしたくさん払った人に少しサービスを上乗せするなどの工夫は必要になってくるでしょう。怠っていると逆に中国人に不公平感を与えてしまうことになりかねません」

 ーー中国プチ富裕層向けには、ありのままの日本のサービスで良いが、富裕層にはまだ改善しなければならないのですね。

 「日本の大きな問題点は富裕層を本当に満足させるような高級リゾートがまだないことです。中国の富裕層は世界の高級リゾートを知っています。1泊10万円のホテルは日本では最高級でしょう。しかし国際的なトップリゾートと比べて驚く価格ではありません。ラグジュアリー感を中心にした設備の拡充が必要です。よく聞くのは『ミシュランの星付きレストランがホテルに併設されていればいいのに』です」

(聞き手は松本治人)

キーワード:経営、企画、営業、管理職、国際情勢

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。