天下人たちのマネジメント術

「75歳定年時代」に備える3つの急所 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(下)

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危険なスマホ中毒、経済成長率低下させる恐れ

 「クリエイティブな発想とは、全く違うジャンルでの経験や知識を持ち込むことで知識の新しい組み合わせを作りだし、常識やステレオタイプな考え方を壊すことです。企業で働いている間は、常に自分の仕事に関係する知識の習得には熱心ですが、今の仕事をよりうまくこなすことは可能でもクリエイティブなアイデアは難しいでしょう」

 ーー人工知能(AI)とはどう向き合っていくべきでしょうか。

 「米国では“生涯学習”が必要だとの認識が広まっています。今は人間しかやれない仕事も将来、突然機械に奪われてしまう可能性は常にあります。だから一定のスキルを身につけたと安心することなく不断にあらたなスキルを勉強してAIやロボットの進化の先をいくように心がけねばならないのです」

 「クリエイティブなアイデアを考える上で注意が必要なのはスマホやソーシャルメディアに頼りすぎないことです。マルチタスク機能は人間の集中力を低下させる弊害もあります」

 ーースマホ中毒は経済の成長性を低下させる恐れがあるのでしょうか。

 「確実に悪影響があります。スマホでばかり文章を読んでいると、流し読み、浅い読みが当たり前になってしまい、新聞や書籍を読むときも途中を飛ばして早く最後にたどりつこうとしてしまいます。また、学生にスマホを机の上に置かせて本を読ませると、スマホが気になって読書に集中できないという研究結果もあります」

 「経済の生産性を高めるにはイノベーションが必要であり、そのためには個人のクリエイティビティーが大事なのですが、クリエイティビティーの強化のためには、深い読みをしてじっくり考えるというプロセスが不可欠です。スマホの使いすぎでそれが疎かになってしまっているのは憂うべき深刻な事態です」

 「ソーシャルメディアの中毒性を知り尽くしている米シリコンバレーの専門家からは自宅で一定時間はルーターのネット接続を遮断して物理的に悪影響を受けないように工夫しています。日本でもネット中毒の弊害は真剣に考えるべきですね」

(聞き手は松本治人)

キーワード:経営層、管理職、経営、企画、人事、人材、AI、マーケティング、研修

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