天下人たちのマネジメント術

「75歳定年時代」に備える3つの急所 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(下)

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まず自分自身の「棚卸し」、起業は60代でも

 ーー自分の生涯のキャリアプランを自分で作り、それに基づいて戦略的にスキルアップに取り組むべきなのですね。

 「75歳定年時代への第2の備えは自分のスキルの“棚卸し”です。それまでに獲得した技能、周囲のビジネス環境、自分の趣味まで全部書き出して、どのスキルを身につけるか、勉強して頑張るかを考えるべきです。好きで勉強するのでなくては長続きしません」

 「できれば40歳前に1度棚卸ししておきたいです。その結果、今の職場で働き続けるのはいいのですが常にセカンドベストを考える必要があります。新しいスキルを身につけるには若いうちの方がいいでしょうから」

 「ただ50代でも遅すぎることはありません。私は現在55歳ですが、やれることが色々あるなと感じています。福井県鯖江市では伝統産業の再生事業に関わっていますし、福島県楢葉町で中学生教育に携わっています。民間でも通用するなと思っています。NPO活動でも真剣に取り組めば、収入を得ることができます」

 ーー退職後に自分の好きなおそば屋さんを開いたが、失敗して金銭的にも苦しくなったなどという話はよく耳にします。

 「75歳まで収入を確保するためには、50代や60代でも"起業"するのは有効な選択肢だと思います。友人で、大手レコード会社の社長を途中で辞めて独立して、長野県の八ヶ岳で生ハムの職人になった人がいます。また、ビール会社の幹部だったけど定年前に退職して今は本当に美味しいトウモロコシを作っている人もいます。こうした人たちの生き方は参考になるのではないでしょうか」

 「ポイントは準備期間です。生ハム職人になった方は、10年以上、まずは趣味、ついで週末の副業という形で生ハムの技術を身につけ、かつ既存の生ハムとは違った作り方を確立しました。まずは本業を続けながら平日夜や週末を使って副業という形で起業する"ハイブリッド副業"がお勧めです」

 ーー自分のスキルアップのためにはどの分野にアンテナを張っておくべきでしょうか。

 「現在は第4次産業革命の中で急速なデジタル化が進んでいることが重要です。しかしデジタル技術を習得しろと言っているわけではありません。機械ができない分野でスキルアップをはかるべきです。具体的にはホスピタリティーとクリエイティビティーです。特にクリエイティビティーが最重要です」

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