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「75歳定年時代」に備える3つの急所 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(下)

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 ビジネスパーソンの関心が高い「働き方改革」の先行きが不透明になってきた。政府・与党は、今国会に提出する働き方改革関連法案に盛り込む内容について、裁量労働制の拡大に関する部分を切り離す方針を決めた。不適切データ問題への批判が強まる中で、裁量労働制に関する法案は今国会への提出を断念する。一方、短期的な視点だけでは働き方改革の達成は期待できない。「オリンピック恐慌」(幻冬舎新書)の著者である岸博幸・慶応大大学院教授は長期的な視野から、ビジネスパーソンは将来の「75歳定年時代」に今から備えておくべきと指摘する。ポイントになるのは(1)スキルアップ(2)自分自身の棚卸し(3)デジタル化への対処――だと強調している。

「裁量労働制の拡大」は最優先事項にあらず

 ーー「働き方改革関連法案」についてどう見ていますか。

 「安倍政権では、これまでの5年間もあまり改革は進んでいません。もちろん、森友、家計学園問題などで野党や一部メディアが改革の足を引っ張っている面もありますが、改革が進んでいない結果として、日本経済の潜在成長率を高めるのに不可欠な生産性はあまり上昇していません」

 「働き方改革についても、迷走した裁量労働制の拡大は最優先の課題ではありません。働く人の生産性を高めるには、労働市場の流動性を高める改革である解雇規制の緩和や金銭解雇のルールの明確化や、スキルアップのための教育・訓練の機会の充実を進めるべきです」

 ーー新著「オリンピック恐慌」では「75歳定年時代」が近い将来やってくると分析しています。

 「3つの大きな潮流から、日本的な雇用のあり方は今後大きく変わっていくと思います。第1は、終身雇用制度の崩壊です。人生100年時代とも言われる長生きの時代に終身雇用は無理です。かつ例えば東芝を見ればわかるように、グローバル化とデジタル化が急速に進む中で、大企業に就職すれば終身雇用で生涯安泰という時代はもう終わりました」

 ーー日本社会の高齢化も止められそうにありません。

 「第2の理由は、流行語にもなっている“人生100年時代”というのは大げさにしても、統計を見ると人生90年時代に突入したのは間違いないことです。2015年時点で65歳まで生きた人の平均年齢は男性約84歳、女性約89歳です。健康寿命も70歳を超えています」

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