天下人たちのマネジメント術

「オリンピック恐慌」は本当に来るか 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(上)

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急がれる地方分権、“自立”する首長たち

 --安倍内閣で手を付けていない改革はまだありますか。

「地方分権を進めるべきです。政府からの補助金などをあてにして生産性を自ら高める自治体が少ないのが現状です」

 「それでも自主的な構造改革に成功しつつある自治体もあります。人口減少が進んでいた長野県下條村では若いファミリー世帯に移住させるため、家賃を低く抑えた住宅施設など子育て支援事業を活発化させて少子化を食い止めました。しかし地方交付税を使うと建築条件など制約が多いので、村の予算から公共事業費を9割削って住宅建設にあてたのです。民間企業出身の村長は村の職員の民間出向なども積極的です」

 「福井県鯖江市は全国的に人口減少が目立つ中で逆に人口が増えています。それは、例えば地元の伝統文化である漆に最先端のデザインなどを融合させて、現代のライフスタイルに合った製品の開発を進めるなど、鯖江市長が積極的に様々な改革に取り組んでいるからです。古い漆器のままでは観光などで1回見れば終わりでしょう。今の日常生活にも取り入れられれば、新たな雇用が生まれる地場産業に変わります。鯖江市長はJK課を作り、若い人の目線も取り入れて行政を変えようとしています」

 --2019年後半までの日本経済はとりあえず順調という分析でしたがリスク要因は何でしょうか。

 「目に見えないリスクは中国・北朝鮮です。実際の中国の不良債権の規模は不明なのですが、問題が表面化すると過去の日本の経緯からも、かなり長期間低迷するだろうとみています。2000年代初めに竹中平蔵・金融相の補佐官として不良債権処理に携わった経験からすれば5年、10年かかってもおかしくないでしょう」

 --習近平政権も長期政権の見通しです。昨年秋の党大会で「小康社会」を目指すと経済重視の姿勢を示した習政権は何をすべきなのでしょうか。

 「中国も高齢化社会に入っています。これからは潜在成長率を高めるために規制改革、構造改革に取り組むのが課題とみます。不良債権処理のポイントは第1に銀行が損を表に出すことです」

 「第2に企業再生です。退場すべき企業には退場してもらい、イノべ-ションを進める企業活動を規制しないことです。ただこれまで経営資源を生産性の低い国営企業に集中してきた習近平政権が構造改革に踏み切れるかどうか難しい面はあるでしょう」

(聞き手は松本治人)

キーワード:経営、企画、営業、管理職、国際情勢

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