天下人たちのマネジメント術

「オリンピック恐慌」は本当に来るか 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(上)

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長期政権、景気好調だからこそ可能な構造改革

 「足元の経済が好調な時だからこそ、長期政権であるからこそ、可能な改革があります」

 「最優先は労働市場の流動性を高めることです。そのための第1のポイントは解雇規制を緩和して金銭解雇のルールを明確化することです。現在国会で『働きかた改革関連法案』が審議されていますが、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金は抜本的な改革になりません」

 「金銭解雇ルールはヨーロッパ各国では普及しており、補償金の上限を年収の1~2年分などとしています。不当解雇を争う裁判を長引かせるより、別の仕事で再出発するのを後押しする意義があります。一方、最低賃金は現在より20%は上げ、千円を超える数字が必要です。その結果、生産性の低い企業は淘汰され人材が生産性の高い企業に集まるようになる。企業の新陳代謝が進みます」

 「第2は働く人が困らないように、高度なスキルや新技術のスキルを身に付けるための公共職業訓練制度の大幅な拡充です。高度成長期の時から、働く人のスキルアップを政府は企業に任せすぎでした。本格的に進めるならば数千億円規模の予算が必要になりますが、新しい職業を見つけるための支援を強化すべきでしょう。第3に兼業規制の緩和も必要です。働く人が次に移りやすい環境を整備していかなくてはなりません」

 --労働市場の流動化の次には何が必要ですか。

 「岩盤規制の緩和です。医療、介護、保育、教育といった分野は規制が多すぎます。これらのジャンルは新ビジネスとして伸びる可能性が大きいのに、何もできていないのが現状です。既得権層がしがみついているからです」

 「1964年の東京五輪は、その経験を生かして警備保障ビジネス、ファミリーレストランといった新しいビジネスが生まれました。2020年の五輪後も、例えばブロックチェーン技術を応用したりする個人認証など新しいシステムが生まれる可能性が大いにあります。そのためにも岩盤規制の緩和は必要です」

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