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「オリンピック恐慌」は本当に来るか 岸博幸・慶応大学大学院教授に聞く(上)

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 「オリンピックの呪い」は避けられないのだろうか。2020年の東京五輪に向けて堅調な足取りを見せる日本経済だが、過去多くの夏季五輪の開催国がその後、深刻な景気悪化に苦しんだ。1964年の前回の東京五輪の後の日本も、その後「昭和40年(65年)不況」に見舞われた。2020年以降に不況を懸念する声がエコノミストの間で目立ってきている。「オリンピック恐慌」(幻冬舎新書)の著者である岸博幸・慶応大学大学院教授は、これからの2年間で抜本的な構造改革が必要だと強調する。

2019年後半まで好調な日本経済、危険な潜在成長率の低さ

 --「経済成長は万病を治す」といいます。現在の日本経済をどうみていますか。12年2月から始まった景気回復局面は、高度成長期の「いざなぎ景気」(57カ月)を超えて戦後2番目の記録を更新中です。

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 「今年は、政府の大規模な財政出動による経済需要を増やす効果が前半まで続き、加えて東京五輪に向けた関連施設の建設需要もピークを迎えます。今後も日本経済は順調で、73カ月間続いた2000年代半ばまでの戦後最長の景気拡大期間を19年1月には抜くとみます。恐らく19年後半まで順調でしょう」

 「ただその先はだいぶ不安定になるリスクを抱えています。長期的な成長率を示す潜在成長率は内閣府推計で1.0%、日銀推計で0.9%と低い。国民が景気回復の実感がなかなか得られないのは潜在成長率が向上しないためです」

 --新著では「アベノミスクは道半ば」と指摘しています。現在の安倍内閣の経済政策に点数をつけるとしたら何点でしょうか。

 「合格ラインを50点とすれば現在はまだ40点でしょうか。これまでの5年間は財政出動と金融緩和が基本でした。デフレ脱却のために金融緩和は必要で、足元の景気を良くするのに財政出動は効果を発揮します。それは大事ですが、長期的な経済拡大を目指す潜在成長率への取り組みが不十分でした」

 「潜在成長率を上げるには(1)人口(労働力)の増加(2)資本設備の増加(3)経済の生産性の向上、のいずれかが必要です。人口が減少し国内市場も縮小傾向の日本で(1)も(2)も難しい。採るべき政策は生産性向上のための改革になります」

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