天下人たちのマネジメント術

西郷、ナポレオン...読みたい歴史書10冊

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

中臣鎌足から近衛文麿、細川護熙に至るまで

(3)「藤原氏」(中公新書、900円)

 「大化の改新」を主導した中臣鎌足から平安期に至るまで藤原氏は息長く日本の権力中枢に地位を占めてきた。それだけでなく、昭和期の近衛文麿、平成の細川護熙もれっきとした藤原氏だ。血縁を結んできたのは皇室ばかりではない。中世以降は数々の大名家とも婚姻を続け、各地には武家としても散らばっていったという。現在は全国に3452の藤原氏族の名字があるそうだ。

 著者の倉本一宏・国際日本文化研究センター教授によれば、現在の日本人のほとんどは、藤原氏の血を引いているはずという。 著者は「藤原氏が権力をつかみ、後世にまで伝えていった様相の中に、日本の権力や政治、社会や文化の構造を解明するための手がかりがある」と指摘している。それは日本型組織の中で生き抜くためのヒントにもなるだろう。

(4)「悪の歴史 日本編」(清水書院、上下各2400円)

 日本史上のヒーローたちはとかく一筋縄ではいかない。武田信玄は父親も息子も失脚させたし、上杉謙信は同盟国をしょっちゅう裏切った。「泣くまで待とう」の徳川家康は、実際は自ら積極的に戦を仕掛け続け、名奉行とされた大岡越前守は江戸最初の暴動を招いた。明治の元勲、伊藤博文は放火の達人で、「平民宰相」原敬は暗殺された時にバンザイを叫びながら号外が売られるほど悪評だった――。本書では各時代の研究者が分担して、飛鳥時代の蘇我馬子から始まって大正期に2度首相に就任した山本権兵衛までの73人を取り上げている。編者は前編が関幸彦・日大教授、後編は大石学・東京学芸大副学長だ。

 日本史上最も人気者の1人である源義経でさえ、軍事的天才であっても政治的に無邪気であれば「悪」のカテゴリーに入ってしまう。その義経の名声を最大限に利用して実体以上の危険人物に仕立て上げ、非常時の権限をそのまま鎌倉幕府の職権に組み入れた源頼朝も当然「悪」に入る。権力者ばかりではない。初代坂田藤十郎、七代目市川団十郎、歌川広重といったアーティストも取り上げており楽しく読める。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。