長島聡の「和ノベーションで行こう!」

カイゼンの極意は「自分で考える」人づくり 第13回 小森治カイゼン・マイスター代表取締役社長に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本型のイノベーション=「和ノベーション」を実現していくには何が必要か。ドイツ系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡社長が、圧倒的な熱量を持って未来に挑む担い手たちを紹介していくシリーズ。第13回はトヨタグループOBによるエキスパート集団、カイゼン・マイスターの小森治社長です。

10年で300社以上を支援

長島 小森さんとお会いしたのは、トヨタ自動車元副社長の石坂芳男さんの紹介により、弊社で講演していただいたのが最初でした。トヨタ生産方式(TPS)の知見やノウハウはコンサルの現場でも応用できるうえ、私たちが進める和ノベーションの取り組みとも親和性が高いと思い、会ったその日に協業させていただきたいとお願いしました。まずはカイゼン・マイスターの成り立ちから教えていただけますか。

小森 私がセントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本)の社長をしていた頃に、新銀行東京から大田区を中心とした町工場の現場改善を支援してほしい、ついては、セントラル自動車のOBを紹介してほしいという話があり、3人ほど紹介して活動を始めたのがきっかけです。ただ、新銀行東京の経営不振により、2年弱でその活動は停止しました。

 それと前後して、横浜信用金庫が私どもの活動を聞き付けて、大変意義のある活動なので、新銀行東京とは別に、一緒にやりましょうという申し入れがありました。そこでどうせやるなら、私もセントラル自動車の社長を退任したので、新しい会社を起こしてやろうということで、2007年11月に4人で起業しました。今は13人に増えています。

 金融機関同士のコミュニケーションは活発で、多摩信用金庫や東京都民銀行のほか、秋田の北都銀行、鹿児島の鹿児島銀行、岡山のトマト銀行をはじめ多くの地方銀行の融資先の現場改善のご支援をするようになりました。鹿児島銀行のケースでは、当時の永田頭取が自行の融資先の現場改善支援について東京大学のものづくり経営研究センターのセンター長をされている藤本隆宏教授に相談に伺ったときに、弊社を紹介していただいたという経緯があります。今までの支援企業数は10年間で300社にのぼり、業種は製造業だけでなく、農林水産業、金融機関、サービス業など多岐にわたります。支援対象となる現場も製造部門から事務部門などに広がっています。

長島 皆さん、40年以上の現場改善の経験をお持ちであることから、カイゼン・マイスターと名付けたそうですね。カイゼンと言ってもいろいろあると思うのですが、例えば、銀行にとっては融資先の企業がどう変わることが満足につながるのでしょうか。

小森 融資先の経営者が「やってよかった」と言ってくれることだそうです。整理整頓など、まずは現場が良くなってくれればいい。現場が良くなれば、いずれ決算内容もよくなるとわかっているのです。

長島 すぐに収益を上げてほしいという依頼ではないんですね。

小森 はい。すぐ短期的な成果を求める方よりも、経営者の一番多い動機はカイゼンを通じて従業員の改善に対するモチベーションが高まることを期待されています。モチベーションが高まると成果も出てくるということを理解されているようです。先ほど、実績は300社と言いましたが、実はそれ以外に無料診断した企業も90社ほどあります。アドバイスだけもらって、後は自分たちでやりますと(笑)。本当に小さな企業では費用も大変ですので、それはそれでいいかなと思っています。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。