石澤卓志の「新・都市論」

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マンション市場が示す「ストック経済」への道

みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

 2016年の東京圏の新築マンション市場には、不動産関係者にとって驚異的とも言える変化があった。売れ行きを示す契約率は68.8%(前年比▲5.7ポイント)に低下し、好調の目安とされる70%を、7年振りに下回った。販売単価は4年連続で上昇したが、1戸当たり価格は5,490万円(同▲0.5%)と、4年振りに下落した。年末時点の在庫は7,160戸(同+729戸)と、7年振りの7,000戸台を記録した。さらに、マンション市場が始まって以来初めて、新築マンションの供給戸数が中古マンションの成約件数を下回った。

2016年のマンション市場は驚異的な変化

 2016年に東京圏で供給された新築マンションは3万5,772戸(前年比▲11.6%)と3年連続で減少し、2年連続で増加した中古マンションの成約件数3万7,189件(同+6.9%)を下回った。また、東京23区についても、新築マンションの供給戸数は1万4,764戸(同▲20.1%)と3年連続で減少し、やはり2年連続で増加した中古マンションの成約件数1万5,290件(同+11.1%)を下回った。調査方法が異なるため、単純な比較には問題もあるが、新築と中古の逆転は、不動産関係者にとって衝撃的な出来事と言える(図表1)。

図表1:マンション供給戸数等の推移 出所:新築マンションの供給戸数は不動産経済研究所調べ、中古マンションの成約件数は東日本不動産流通機構(東日本レインズ)調べ 出所:新築マンションの供給戸数は不動産経済研究所調べ、中古マンションの成約件数は東日本不動産流通機構(東日本レインズ)調べ

 新築マンションの供給減は、用地不足が最大の原因とみられている。この他に、2016年前半は消費増税の動向を見極めるために、後半は住宅ローン金利が上昇してきたために、供給のタイミングを見失ったデベロッパーが多かったようだ。また、マンションの「売れ筋」のエリアがはっきりしてきたため、供給場所が限定されるようになった。

 一方、中古マンション市場の活況について、不動産関係者の多くは「新築マンションの価格が髙くなりすぎたため、購入者が中古に流れた」と解釈している。新築マンション価格の上昇は、用地不足による土地価格の高騰、人手不足などによる建築コストの高騰が主な要因と考えられている。この他に、新築マンション市場は、企業体力のある大手デベロッパーがシェアの過半を占めるため、値下げ競争が起こりにくいとの指摘もある。ただし、中古マンションの価格はさらに大幅に上昇している。

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