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第5回「普及しつつあるBEMS、動き始めたスマートコミュニティ」

スマートコミュニティ成功の秘訣は?

 このようにビルや施設にとどまらず、都市や地域のエネルギーをまるごと管理するCEMS(地域のエネルギー管理システム)に取り組むプロジェクトも、日本各地で動き始めている。

 埼玉県にある上越新幹線本庄早稲田駅の周辺地域で進められている「本庄スマートエネルギータウンプロジェクト」もそうした取り組みの1つだ。本プロジェクトでは、本庄市と連携を図りながら、早稲田大学、NECなどが参画。産官学が協同して、太陽熱・大気熱・地中熱といった自然エネルギーを徹底的に活用するスマートシティの構築が目指されている。

本庄スマートエネルギータウンプロジェクトで予定する主な取り組み

スマートハウスや電気自動車、商業施設などを組み合わせた複合型スマートタウン。各要素を有機的につなぐために人流と物流、金流、情報流の設計が重要だ。(※クリックすると拡大します)

 同プロジェクトの運営委員長を務める小野田弘士氏は、その特徴を次のように説明する。「ほかのプロジェクトの多くがエネルギー施策を主軸に据えていますが、本プロジェクトでは、あくまで構成要素の1つという位置づけです。本庄という『地の利』を活かし、そのほかの情報サービスや商業施設、住宅、EV(電気自動車)をはじめとした次世代交通システムなど様々なサービスと組み合わせることで、住民にとって便利で暮らしやすい街をつくりたいと考えています」

 具体的なプランについては議論を重ねている段階だが、そこには地域全体の効率化や利便性を考慮したビジネスモデルも検討されているという。「例えば、情報サービスの1つとして、ショッピングセンターのタイムセールを住民にお知らせする。午後の時間帯に買い物に出かけてもらえば、各家庭のエアコンが止まり、地域全体で電力消費のピークカットが実現できる。さらに買い物の動機づけとして、エコポイントのようなものを配るといったことも可能でしょう」と小野田氏はアイデアの一端を示す。

小野田 弘士氏
早稲田大学 環境総合研究センター
准教授 小野田 弘士氏

 もちろん、エネルギー領域においても様々な施策が検討されている。例えば、エネルギーの「共有インフラ化」もその1つ。これはいくつかの住宅をグループ化し、創エネ機器(コージェネレーションなど)でつくった熱を共有インフラとして整備する蓄熱槽に蓄え、ICTで管理し共同で使用するというものだ。

 「電力と熱を同時に生み出すコージェネレーションは高いエネルギー効率を実現できますが、それを有効活用するための方策は十分に検討されているとはいえません。その理由は、熱を使わずに捨てているケースが多いから。ならば、蓄熱槽を共有化することで熱をうまく活用する仕組みを整えるか、熱を購入してくれる需要家を確保すればいいのです」(小野田氏)。

 これらのアイデアを実現する上で、カギを握るのがこうした共有インフラを「誰が運営するのか」「運営を事業として成立させることができるのか」といったビジネスモデルに関わるテーマである。広範な領域でエネルギーの効率的運用を可能にするCEMSと、人・物・金・情報といった多様な要素をいかに組み合わせていくのか――。本庄スマートエネルギータウンプロジェクトの挑戦が始まる。

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