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【パネル討論】スマートシティ東京創造〜5年後の未来へ

<パネリスト>
・東京都 谷上裕氏(環境局 都市地球環境部長)
・森ビル 河野雄一郎氏(取締役 常務執行役員)
・三井不動産 太田稔彦氏(スマートシティ企画推進部 業務グループ長)
<コーディネーター>
・市川宏雄氏(明治大学 専門職大学院長・公共政策大学院ガバナンス研究科長)

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左から谷上氏、河野氏、永矢氏、市川氏

 市川 5年後に向けた東京都の取り組みを伺いたい。

 谷上 世界の都市総合力ランキングで1位を目指し、長期ビジョンに基づいた取り組みを進めている、スマートエネルギーシティの見本としての東京を世界に示すだけでなく、次世代に引き継ぐ都市の姿を描くレガシービジョンの策定を来年度に向け進めている。

 市川 東京都の考えるスマートエネルギーシティの要件は、省エネとそのマネジメント、再生可能エネルギーの導入推進、水素社会の実現の3点が挙げられていた。各社の取り組みや課題はどうか。

 河野 六本木ヒルズではコージェネを導入し、東日本大震災の際にも大いに役立った。近隣でさらに再開発計画を立てているが、そこでもコージェネ導入を検討する。2つのエリアのコージェネが連携できれば、効率よく電気供給ができる上、安全性も高まり、施設の融通により設備費も縮小できる。ところが今の法制度ではエリア間の連携は簡単ではない。国や行政の理解を求めていきたい。

 永矢 省エネは、単体の建物では限界があり、街全体でのエリア・エネルギー・マネジメントが必要になる。エネルギーの供給は本来インフラ企業、あるいは公共機関の役割であったが、当社のような民間企業がエリア全体のエネルギーをマネジメントしようとすると、今までとは異なる役割分担が必要となる。規制の壁が障害になることも考えられるが、地元の方々、公共機関とも連携し、目的を共有化して取り組んでいる。

 市川 スマートシティは省エネや再生可能エネルギーばかりがテーマではない。首都直下型地震の可能性など防災面の強靭(きょうじん)化についてはどうか。

永矢 災害時には自助・共助・公助がポイントとなるが、震災の際にエネルギーの途絶を体験し、今まで公助に頼りすぎていた一面が浮き彫りになった。経営的に大きな投資となるが、まず共助の仕組みをハード面から構築し、さらに住民同士の絆など共助のソフト面も強化して都市の力に変えていきたい。

 河野 耐震性に優れた建物であれば避難するより建物内にとどまった方が安全だ。揺れさえ収まればすぐに帰宅困難者の受け入れや救助活動に移れる。森ビルでは避難訓練は実施せず、救助やAED、炊き出し、仮設トイレ設置等の訓練を実施している。テナントも自発的に訓練を行う動きが出始めている。

 谷上 大震災を経験し、自立型電源の必要性を痛感した。大規模建築物にコージェネを備えたいというケースも増え、非常に心強いが、都の場合は広域エリア全体の防災力の向上、エネルギー利用の効率化を考えながら、バランスのよい強靭化を進める必要があると思う。

 市川 スマートシティとビジネスの関係はどうか。

 永矢 ミクストユースのまちづくりで本当にミックスしたいのは実は人間だ。例えば投資家と企業家、ハードとソフトの融合など人の交流が進む仕掛け作りにより、エネルギー関連をはじめとした新ビジネスの誕生を期待している。

 河野 水素社会が現実的となると、住まいや暮らし方も大きく変わる可能性がある。例えば水素自動車がコアになり、ライフスタイルを変える新たなビジネスや商品開発が進むのではないか。

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河野氏、永矢氏の個別のプレゼンテーションの要旨は以下の通り。

Vertical Garden City 森ビル・河野雄一郎氏
 森ビルは建物を超高層化し、緑にあふれ、エネルギー効率が高く、防災力に優れ、人の交流が進む街づくりを都内各地で進めてきた。今後も、地震でも揺れにくく、また温度変化が小さく環境負荷も少ない地下空間の積極的な活用を視野に入れ、職・住・遊が近接したコンパクトな「立体緑園都市」を一つのモデルとしていく。

時代の求める革新性 三井不動産・永矢隆氏
 三井不動産はその時代に求められる革新性を備えた街づくりを進めてきた。今取り組んでいる「スマートシティ」では様々な機能や目的を併せ持つ「ミクストユース」「ハードとソフトの融合」「地域資源の活用」など革新的手法を有機的に組み合わせ、サステナブルに街の価値を創造していく課題解決型の街づくりを目指している。

(2月3日、スマートシティシンポジウム最終回

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[2015年3月30日更新]

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