自動運転車・農業に重点 科技戦略案、16年度予算に反映

 政府は毎年の科学技術政策の基本方針を示す「科学技術イノベーション総合戦略案」をまとめた。28日の総合科学技術・イノベーション会議=議長・安倍晋三首相=の会合で示す。2016年度予算から車の自動走行や農作業の自動化といった分野に重点配分する。安倍政権が重点を置く成長戦略や少子高齢化対策のテコ入れを狙う。

 6月に閣議決定し、政府の成長戦略に反映する。年間約4.5兆円で推移する科学技術関係予算を重点分野に優先的に振り分ける。

 車の自動走行については、全地球測位システム(GPS)を使って(1)交通規制(2)車両や歩行者の混雑(3)道路周辺の建物――の詳しい情報を盛り込んだ地図を作る。事故が起きそうになった場合に自動運転から手動運転に切り替える仕組みの開発を進める。

 農業分野では、農作業で重量物の運搬を補助する装着型機械の開発を推進する。情報通信技術(ICT)を使って消費者の嗜好をデータ化し、付加価値の高い商品開発につなげる。

 医療・介護データを統合する「地域包括ケアシステム」は、センサーから得られた情報を分析して個人が自分の体に最適な健康管理ができるようにする。一人暮らしの高齢者の状態をセンサーを利用して見守れる体制をつくる。

 訪日外国人の増加に備えて、10言語に対応した多言語翻訳システムを開発する。高性能な素材開発に向け、産学官が協力する材料データベースを構築し、長距離走れる電気自動車向けの蓄電池の素材開発につなげる。

 16年度から5年間の科学技術政策の方針を年内に打ち出す「第5期科学技術基本計画」に向けて、総合戦略では20年の東京五輪・パラリンピックや地方創生に役立つ技術開発に取り組む方針も盛り込んだ。

[2015/5/28 日本経済新聞 電子版]

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