パナソニック独走 太陽電池、生産能力1割増へ

 パナソニックは18日、2016年度までに太陽電池の生産能力を約1割増の年100万キロワット以上にすることなどを柱とする事業戦略を発表した。中国など海外勢との価格競争激化や再生可能エネルギーの買い取り価格引き下げなど事業環境は厳しい。ライバルのシャープや京セラが不振にあえぐなか、パナソニックの「独走」が目に付く。

 「一気呵成(かせい)に攻撃をかけ、圧倒的なポジションを確立する」。同日、大阪市で開いた事業説明会で同社の岡山秀次エナジーシステム事業部長はこう強調した。

 国内外の4工場はフル生産が続いている。このため、島根工場(島根県雲南市)と滋賀工場(大津市)に計95億円を投じ、年産能力を15万キロワット増やす。パネルだけでなく、蓄電池など関連のシステム商品も拡充する。

 15年3月期、大規模太陽光発電所(メガソーラー)用が中心のシャープの太陽電池事業は626億円の営業赤字に転落。京セラも太陽電池を核とする事業部門の利益が前の期より9割も減った。

 一方、パナソニックは売上高1500億円前後と2~3割増えたとみられ、営業利益率は10%を超えたもよう。同社の太陽電池販売は住宅用が85%を占める。太陽電池全体の国内シェアは4位(13年)だが、住宅用はシェア3割で首位。一人勝ちの秘密はここにある。

 14年の太陽電池の国内出荷量は前年比23%増(13年は同約3倍)だった。メガソーラー用を中心にした成長は鈍化し始めている。メガソーラー用は量はさばけるが、受注競争は激しい。米ゼネラル・エレクトリック(GE)グループなどが岡山県に建設する国内最大級のメガソーラーには中国勢が全量納入する。

 経済産業省などによると、太陽光発電システム費用(昨年10~12月時点)は非住宅用(出力1千キロワット以上)が1キロワットあたり約28万円なのに対し、住宅用は約37万円だ。

 パナソニックは特に新築住宅用よりも市場が大きい既築用で4割のシェアを握る。パネル設置に屋根の強度確保など手間や技術が求められる分、価格を維持しやすい。

 「よい物をつくるだけで勝てるわけではない」(津賀一宏社長)。旧パナソニック電工が築いた全国販売網は工務店、建設会社、電気工事店など15万店に及ぶ。他社も住宅用強化に動くが、アフターサービスなどきめ細かい対応が必要な個人顧客の開拓は容易でない。

 パナソニックは太陽電池技術で定評があった三洋電機を09年に子会社化したが、津賀社長は12年に就任するや「太陽光バブル」を警戒して最新のマレーシア工場への追加投資を凍結した。「供給者視点からマーケティング重視」(幹部)に転換し、いち早くメガソーラーを追うのをやめた。

 再生エネ関連ビジネスは依然、補助金など政策次第で需要が変動するリスクもある。今回の投資決定は「稼げているからこそ」(岡山氏)だ。リスクをコントロールしながら勝てる領域で確実に勝つ。パナソニックはしたたかだ。(平沢光彰)

[2015/5/19 日本経済新聞 電子版]

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