新電力に参入続々、年内100社突破へ 5~15%安く

 大手電力会社以外で電力を小売りする「新電力」が増えてきた。7月時点で90社に達し、年内にも100社を超える見通し。企業の相次ぐ参入で東日本大震災前の2倍に増え、足元の市場シェアも過去最高になった。原子力発電所の停止で大手電力が電気料金を上げるなか、大手より5~15%安く供給する新電力の人気は高いが、なお普及するには課題も多い。

 新電力最大手のエネット(東京・港)。北陸電力管内で4月から、金沢地方裁判所の一部庁舎に供給を始めた。これで沖縄を除く9電力管内すべてで新電力が参入した。

 日本製紙は昨年5月に新電力として登録。大手電力以外では最大規模の170万キロワットの自家発電設備を持つうえ、間伐材を燃料に使う発電所も建てる。「さらに電力価格が上がり、規制緩和が進めば本格的に電力小売りを始める」(エネルギー事業部)という。

■大手値上げで存在感

 三井物産も新電力として届け出た。和歌山県に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を持つほか、ソフトバンクグループと鳥取県で国内最大級のメガソーラー計画を進める。「自社が保有している電源を活用して、企業や事業者向けの電力供給事業に参入余地があるとみている」と話す。

 新電力が供給できるのは工場やオフィスビルだ。これら自由化部門に占める新電力のシェアは5月に3.9%。じりじりとだが着実に上がる。特に昨年4月から企業向けを値上げした東京電力の管内では新電力のシェアが10%前後に達したもよう。今後は今年に値上げした関西電力や九州電力の管内でも新電力のシェアが上がりそうだ。

 新電力が存在感を高める背景には大手電力の値上げがある。企業向けは今年7月までに東京、関西、九州、東北、四国の各電力が値上げし、北海道も9月の値上げを目指す。いずれも値上げ幅は10%を上回る。原発の停止で燃料費がかさむ一方、原発の安全投資や維持費用も膨らむからだ。原発を持たずに身軽な新電力は大手よりも割安な料金を提示しやすい。

■自治体が積極活用

 特に財政難に苦しむ自治体が積極的に新電力から調達している。神奈川県は今年度中に272の県施設の9割にあたる244施設で使う電力を新電力でまかなう。1億5千万円の費用削減効果を見込む。東京都も新電力からの調達に順次、切り替えている。猪瀬直樹知事は「新電力のシェアを30%まで高めたい」として政府に対策を求める。

 政府は2016年には電力小売りを家庭まで含めてすべて自由化する方針。新電力の事業機会も広がる。電力業界の競争が激しくなれば、電気料金の上昇を少しでも抑える効果も期待できる。

[2013/7/28 日本経済新聞 電子版]

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