中国、太陽電池てこ入れ 再編促し能力削減、補助金で需要刺激 ~供給過剰解消は不透明

 【上海=菅原透】中国政府は太陽電池業界のてこ入れに乗り出す。供給過剰で経営不振に陥っている業界の再編を促し、生産能力の削減を後押しする一方、補助金制度の拡充で国内需要を刺激する。欧州の需要低迷や欧米との貿易摩擦で、行き場を失った中国製品の消費を促す狙いだが、内需を見込んで各社が再び増産に走る恐れもあり、供給過剰問題の解消に結びつくかは不透明だ。

 てこ入れ策は、温家宝首相が主宰する国務院(政府)の常務会議で決めた。(1)生産能力の拡大を厳しく管理し、業界の再編・淘汰を促す(2)地方政府による地元企業の保護の禁止(3)補助金制度の拡充による内需振興――など5項目が柱だ。中国の証券アナリストは「一連の施策で、業界の不振は和らぐ」と期待する。

 中国勢の業績は悪化の一途をたどっている。英利緑色能源(インリーグリーンエナジー)など主要各社の7~9月期は売上高が前年同期比3~5割の減収。営業損益の赤字幅も拡大している。江西賽維LDK太陽能高科技(LDKソーラー)は資金繰り改善のために地元政府系企業の出資を仰いだ。

 中国政府は「太陽光発電産業は戦略的な新興産業」と強調、「今の困難を産業高度化に結びつける契機にする」として、支援に乗り出す意義を説明する。

 業界が苦しむ最大の要因は世界需要の約7割を占める欧州市場の不振だ。政府の新エネルギーの導入補助制度が縮小されたことで、昨年来、需要が低迷。米系調査会社のNPDソーラーバズは「今年後半も前半より33%減る見通し」とみる。

 欧州に代わる市場として期待していた米国でも10月、反ダンピング(不当廉売)課税が決まり、中国勢の対米輸出は事実上難しくなった。欧州でも反ダンピング調査が入っており、中国の国内市場の拡大は中国勢にとって生き残りの最後のとりでといえる。

 中国政府は国内の太陽光発電事業者に対する税の減免措置などを通じて、太陽電池需要の掘り起こしを一段と進める方針。今年は5ギガ(ギガは10億)ワットの新設発電容量が、2015年には3倍に膨らむとの予測もある。

 世界の太陽光の新設発電容量は12年に30ギガワットの見込みだが、世界生産能力はその2倍以上。中国勢は価格競争力を武器に世界市場を席巻したが、過剰生産による価格下落で世界上位を占める大手も赤字に苦しんでいる。

[2012/12/21 日本経済新聞 電子版]

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