「ナトリウムイオン」、次世代蓄電池に急浮上 トヨタが新技術

 リチウムイオン電池の性能を大幅に上回る次世代蓄電池で、ナトリウムを使う「ナトリウムイオン電池」が有力候補として浮上してきた。低コスト化では有利とされながら大容量化が難しいとみられてきたが、トヨタ自動車が新たな基盤材料の開発に成功し、電気自動車用に実用化研究を進める。住友化学や住友電気工業もそれぞれ試作品を作り上げた。

 ナトリウムを電子のやり取りに使うナトリウムイオン電池は、レアメタル(希少金属)のリチウムを使わずに済む。ナトリウムは海水にふんだんに存在することから原料が安く、低コスト化しやすい。

 福岡市で開催中の電池分野の学会では、性能面でも高い可能性を秘めていることが報告された。トヨタは15日、新しい正極材料を開発、電池容量を大幅に高められる分析データを発表した。電気自動車に搭載した場合、1回の充電で走行距離をハイブリッド車並みの500~1000キロメートルにできる可能性があるという。

 現在のリチウムイオン電池だと、技術が進展しても300キロが限界とされている。

 住友化学は負極材に同社製の「ハードカーボン」と呼ぶ炭素材料を採用し、正極材にはナトリウムと鉄、マンガン、ニッケルからなる酸化物を使ったタイプを開発した。今夏、5センチ四方でスマートフォン(高機能携帯電話)の電池とほぼ同じ大きさの電池を試作し、安全性などの性能を検証中。電池容量で比較すると、リチウムイオン電池の9割程度まで達することを確認した。

 京都大学との産学連携で研究開発を進めている住友電工は、電解液にナトリウムの溶融塩を使ったもので約20センチ四方の電池を試作した。電気自動車にも搭載できる大きさ。室温では動かせずセ氏57度以上に温めなければならないが、非常用電源向けなどでまず実用化を狙う。

 次世代蓄電池を巡っては、電気自動車の搭載に耐えうるような安全性や、耐久性、電池容量の大きさ、低コストなど、様々なハードルがある。

 各社は電解質が固体でできている「全固体電池」や、充放電に空気を利用する「空気電池」も含め、研究開発にしのぎを削っている。

[2012/11/16 日本経済新聞 電子版]

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