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実証から実装へ、スマートコミュニティを全国に横展開

戸邉千広氏

 2011年度から2014年度にかけて、横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市の4地域で行われてきたスマートコミュニティの社会実証が、2015年3月で終了する。経済産業省からの補助金約300億円が投じられた日本初の大規模な実証実験は、どんな成果をもたらし、どんな課題を浮き上がらせたのか。また、今回の実証実験の実績を踏まえ、経済産業省ではこれからどのようにスマートコミュニティを推進していくのか。経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新産業・社会システム推進室長の戸邉千広氏に聞いた。

経済産業省
資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
新産業・社会システム推進室長
戸邉 千広 氏

地域でエネルギーを有効活用するシステムを構築

――経済産業省は2009年11月、省内横断的なプロジェクトチーム「次世代エネルギー・社会システム協議会」を設置し、2011年度から主に4つの地域でスマートコミュニティの社会実証を行ってきました。経済産業省ではどのような背景や狙いから、スマートコミュニティの実現に取り組んできたのでしょうか。

 これまでは、水力、火力、原子力発電所など、大規模な集中電源があり、そこから大きな送電線で離れた地域まで電力を送る方法が主でした。しかし、時代とともに、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーや、コージェネレーション(熱電併給)による熱利用など、家庭を含め、それぞれの地域でエネルギーを供給する分散型の電源(需要地の近くに分散して配置される小規模な電源)が注目されるようになり、エネルギーの地産地消の動きが広がってきました。

 そんなとき、東日本大震災が起こり、大規模集中型電源から一方向でエネルギーを運んでくるシステムの脆弱性が明らかになりました。「再生可能エネルギーも含めた双方向型の分散型エネルギーシステムのほうが、レジリエンス(強靱性)があるのではないか」という観点がプラスされ、スマートコミュニティをより一層進めていくべきだと考えるようになったのです。

――再生可能エネルギーの導入という狙いに加え、災害対策の強化のために、分散型のスマートコミュニティの重要度が増したわけですね。

 ただ、すべてのエネルギーを地産地消に移行するのは困難なので、一方向型である大規模な系統電力も使いながら、分散型電源も活用する取り組みが始まったわけです。

 IT化が進み、電力の需要をコントロールできるようになってきたことも関係しています。これまで、国のエネルギー政策では、需要は所与のものと考え、その需要に合わせて発電所を建てるなどして、安定供給を守ってきました。発電した電気は貯めることはできませんから、夏場や冬場に迎える電力消費のピークに合わせて、発電能力を確保しなければなりませんでした。

 しかし、IT化が進み、エネルギーを消費する需要側でのスマートなコントロール、いわゆるエネルギーマネジメント(管理)が可能になったことで、我慢せず、快適なまま節電できるようになりました。分散型エネルギーシステムを構築し、需要もコントロールすると、それぞれの地域の中で需要と供給を効率的にやりくりできる。この仕組みを日本中に広めていこうというのが、スマートコミュニティの意図するところです。

スマートコミュニティの国内4地域実証


(出所)経済産業省 資源エネルギー庁(※クリックすると拡大します)

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