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海外とのパイプ生かし、日本の技術を"橋渡し"~軌道に乗り始めたNEDOのスマートコミュニティ海外実証事業

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(略称NEDO;New Energy and Industrial Technology Development Organization)は、エネルギー・環境技術の開発を推進し、その普及を支援する独立行政法人である。1980年の設立以来、主に"ファンディング・エージェンシー(研究資金の配分機関)"のような役割を担ってきたNEDOが、現在、資金面での支援はもちろん、既存の枠組みを超えた役割も果たしながら、海外でいくつもの実証事業の舵を取り、スマートコミュニティの普及・発展に取り組んでいることは、一般にはあまり知られていない。しかも、その実証事業は、高度な省エネ・環境技術を有する日本企業の海外での新規ビジネス展開にも、大いに役立っているという。世界共通の環境問題の解決に貢献しながら、日本の企業の海外展開にも資するNEDOの取り組みとは、具体的にどのようなものなのか。NEDOスマートコミュニティ部の山本雅亮部長に聞いた。

スマートコミュニティ化は世界的な課題~海外で6つの案件を実証中

 NEDO は発足以来、日本最大の技術開発推進機関として、「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術の競争力強化」という2つのミッションを掲げて技術開発・実証に取り組んできた。研究開発施設は保有せず、産学の研究機関に技術開発を委託して、太陽光・風力・バイオマス発電などの自然エネルギー発電技術、省エネ技術、リサイクル技術、燃料電池などの開発・普及を支援している。

山本雅亮氏
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) スマートコミュニティ部 部長 山本雅亮氏

 スマートコミュニティ部の山本雅亮部長は言う。「スマートと言うといかにも先進国というイメージがありますが、途上国にも大きな市場があり、市場拡大は世界的な流れです。一方で、エネルギー・環境問題は1国だけの問題ではなく、世界で協力して解決しなくてはいけない課題です」

 こうした世界の情勢や認識のもと、NEDOは2009年から海外で、スマートコミュニティの実現に必要な技術的・社会的実証の取り組みを開始した。もともとNEDOは2000年頃から系統連系技術の開発と実証事業を開始し、2005年から2010年まで、北海道や宮城県、群馬県など国内で、再生可能エネルギーの大量導入に対応するための系統連系技術の確立に取り組んでいた。しかし、2009年の米ニューメキシコ州での実証参画を皮切りに、取り組みのフィールドを海外に移し、現在では横浜、豊田、けいはんな、北九州の4都市を含めて経済産業省が主に国内の実証、NEDOは海外の実証と、役割分担ができている。

 NEDOが取り組む海外でのスマートコミュニティの実証は、基礎調査から始まり、その後、「FS(Feasibility Study=事業可能性の検証)フェーズ」「実証フェーズ」という2つの段階の実証試験を経る。

海外実証のプロセス

海外実証のプロセス
(出所)NEDO
(注)LOIはLetter of Intent(基本合意書)、MOUはMemorandum of Understanding(了解覚書)

 NEDOの取り組み実例としては、米国で2つ、フランス、英国、スペイン、インドネシアで1つずつ、計6つの案件が、実証フェーズに入っている(2015年2月現在)。FSフェーズに入った9件、基礎調査を始めた3件も含めれば、NEDOは18件ものスマートコミュニティ実証のプロジェクトを海外で走らせている。

 現在、世界で数百のスマートコミュニティの実証実験が行われているが、そのほとんどは国内実証であり、日本のように海外の実証に全面的に協力する例はめずらしい。注目すべきは、その実証プロジェクトの副次効果として、参加した日本企業には、現地で新たなビジネスを展開するための足がかりが得られるという点である。つまり、NEDOが取り組む実証は、日本の高い技術力を活用することで、海外の都市や地域のエネルギーのスマート化に貢献すると同時に、日本企業の海外展開にも役立っているのだ。

 NEDOは、どのようなかたちでスマートコミュニティの海外実証を行い、また、そこに参加した日本企業には、どのようなメリットがあるのだろうか。2015年3月に終了予定の海外実証の第1号案件「ニューメキシコ実証事業」でみてみよう。

NEDOが進めるスマートコミュニティ海外実証

NEDOが進めるスマートコミュニティ海外実証
(出所)NEDO

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