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第11回「森林未来都市・下川町の挑戦(後編)~都会の若者を魅了する“森とともに生きるまち”」

 環境未来都市構想で「人が輝く森林未来都市」とうたっているように、下川町のまちづくりは、Iターンなどでやってきた新住民を含め、そこに住む人たちにとっての新しい暮らし方や働き方、価値観を具現化していく過程でもある。

 「豊かな森林環境に囲まれ、森林で豊かな収入を得て、森林で学び、遊び、心身の健康を養い、木に包まれた心豊かな生活をおくることができる」。下川町が目指すそんな「良質な生活」の礎となるのが、前編で紹介した「エネルギー完全自給と低炭素化(資源)」「森林総合産業の確立(産業)」「超高齢化対応社会モデルの構築(社会)」という3つの取り組みだ。

若者と高齢者の協働により「自立型コミュニティ」を構築

 町役場などがある中心地から10キロほど郊外にある「一の橋地区」。ここに、2013年5月、町営住宅「一の橋バイオビレッジ」が誕生した。ここで下川町が目指しているのは、超高齢化への対応とエネルギー自給、そして集落再生を同時に実現する「自立型コミュニティ」のモデルづくりだ。

 一の橋地区は、人口約140人、高齢化率が50%を超える限界集落だった。かつては林業を基幹産業として栄え、高度成長期に人口は一時2000人を超えていたが、現在は商店も病院もなく、買い物や除雪の支援など、地域コミュニティの維持が課題になっていた。

一の橋バイオビレッジの集住化住宅
集住化住宅26世帯の給湯・暖房に利用する熱はすべて、隣接する木質バイオマスボイラーから供給されている。

 このため下川町は、地域活性化に取り組む人材の誘致を促す総務省の補助制度である「地域おこし協力隊」や「集落支援員」をこの地区に導入。若者による高齢者のさまざまな生活支援を行いながら、住民と議論を重ね、「一の橋バイオビレッジ」の青写真を描いた。

 集住化住宅の室内は、下川町の木材を使ったぬくもりを感じるしつらえ。幼少時から一の橋地区に住み、集住化住宅に移った85歳の小林礼子さんは、「前の家はちゃんと地ならししていないから、しばれて(寒くて)ね。灯油代が月2万3000円もかかったの。ここに入ったら、5000円くらいになりました」と笑顔で話す。

>> 高齢者が安心して暮らせるよう配慮

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