パネルディスカッション 地域経済好循環推進プロジェクト【分散型エネルギーインフラプロジェクト】

2017年6月26日

<パネリスト>
松田 浩樹 氏(総務省 地域力創造グループ 地域政策課長)=写真右上
鵜篭 博紀 氏(米子市 経済部 経済戦略課 産業開拓室長)=写真左上
荒川 涼 氏(栃木県 環境森林部 環境森林政策課 環境立県戦略室 主任)=写真右下
赤池 慎吾 氏(富士市 環境部 環境総務課 環境政策担当 主査)=写真左下

柏木 「分散型エネルギーインフラプロジェクト」の実現に向けた取り組みについて伺いたい。

松田 当プロジェクトでは自治体を核として、バイオマス等の地域資源を活用した地域エネルギー事業を立ち上げるマスタープランの策定を支援してきた。実現性を高めるため、策定段階から事業化段階に至るまで、関係省庁タスクフォースによる徹底した支援を行っている。

鵜篭 当市も出資したローカルエナジー社が、16年4月から電力小売り事業に参入した。地域外に流出していたエネルギー関係の資金の地域内循環を目指している。17 年4月末現在の契約電力は2万5963㌔㍗。実質的な事業初年度の16年度に単年度黒字を達成した。

荒川 栃木県はエネルギー消費量における電力と熱の割合が電力4割、熱6割と電力の割合が高い。災害対応力向上も含めて分散型エネルギーの導入拡大による電力自給率の向上が喫緊の課題だ。総務省のマスタープラン策定委託事業を活用して、清原工業団地で「工場間一体省エネルギー事業」を実施している。

赤池 当市のプロジェクトは、共同コージェネの熱導管のコスト回収ができず頓挫した。そこで熱ではなく電気の融通を考えたところ、インフラ整備の経費が大幅に削減できることが分かり採算性が出てきた。これから官民連携で取り組んでいく。

柏木 プロジェクト立ち上げ後、経済循環に対する成果はどうか。

鵜篭 当初の売り上げ目標よりも大幅に上方修正して、経営的に成功している。ただ一方で需要家が増えて日本卸電力取引所(JEPX)からの調達が増加していることや、地元での認知度向上が課題だ。

赤池 公共施設の省エネ改修などでライフサイクルコストを下げたが、設備投資は2倍になったことで地元の施工業者などに関心を持たれてきている。地方創生の1つの解決手段として示すことでいいスパイラルになると思う。

荒川 東日本大震災で被災し、エネルギーの安定供給は大きな課題だったが、そこを押し上げる事業であり非常に成果があった。今後は第2、第3のエネルギーセンター事業などに広げ、解決に努めることが課題だ。

松田 良い循環を生み出すためにも、自治体がしっかりコミットメントし、それぞれの域内で最適な事業の形を追求することが重要だ。国もすぐに横展開に走るのではなく、まずは1つでも成功事例を着実に練り上げることに注力すべきだ。

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